ドリーム小説
























一人でいることにはもう慣れた。

自分だけの空間は人に気を遣うこともしなくてもいいそれは、とても楽で。

望むように過ごせるし、自分を偽らなくてもいい。







一人が怖いなんて、そんなことは、ない。








「本当、もうやだ・・・」


小さくつぶやいた声は、誰に届くこともなく、ただ空気に溶ける。


夕方から降り始めた雨は強さを増して地面をたたく。

それだけならばなんら問題はなかったのだ。



空をさく光の筋



空気を切り裂く音の集団




それらすべてがにとって恐怖の対象でしかなかった。



親が旅行に出発したのは昨日のこと。

この広い家で一人、ただ帰りを待つだけの時間。



一人には慣れていたから何も怖いこともなかったのだ。


たった一つ、怖くて怖くて仕方がないもの以外は。



「っ、」


光る空に、落ちる音に。


体が震える。


怖いという感情に支配されていく。



部屋にこもって布団を頭からかぶって。


逃げるように体を縮こまらせて。


それでも逃げられる気配のないそれに。


ぼとぼとと瞳からこぼれる涙を枕に押しつけた。



助けてほしい、口から出そうになるその言葉。



でも誰も助けてなんてくれない。



ぐっと強く強く瞳を閉じて自分を守るために体を抱きしめて。









っ!!」














それは、夢か幻か



























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