ドリーム小説
六、いつかは君の安らげる場所に
ざわりと突然広がったざわめき。
何事かと窓の外を見れば、ふわり、倒れる一つの陰が目に入って。
その陰は、最近できたばかりの「妹」という存在で。
気がついたときには体が動き出していた。
窓を開けて三階のそこから飛び降りて。
ざわざわとやかましい騒ぎの中心へと向かう。
「おい、!大丈夫か?!」
のそばにいるのはだれか、そんなことはどうでもよくて。
「どけ。」
に触れるその手を払って、その体の下に手を差し入れて。
「何するんですか、尾浜先輩。」
持ち上げようとすればぐっとその手を押さえられて。
「離せ」
その言葉に捕まれていた腕が緩む。
思っていた以上に軽い体。
その顔色はすこぶるわるく。
原因がわからないほど愚かな自分ではない。
「極度の緊張による睡眠不足だね。」
保健室に運び込めばそこにいたのは一つ上の先輩で。
ベッドに下ろせばすぐさま診察を開始してくれる。
そしてあっさりもたらされた診察結果はそれで。
「普通に生活してたらこんなことあんまりないよ?・・・思いあたるふしでもあるの?」
思い当たる節ならばいくらでもある。
家族となってすでに一週間が過ぎたけれど未だにこの子は自分を呼ばない。
父ですら呼ぶことなどなく。
毎日部屋にこもって過ごす。
小さなこの体にどれくらいの緊張が強いられているのか
どうしてそんなにもかたくなに俺たちを拒むのか。
「できるなら今日はもう家に。ゆっくりと家で休む方がいいよ。」
その家がこの子にとってゆっくりと休める場所であるかどうか、それはわからないけれど。
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