ドリーム小説



















ごめんなさい、ごめんなさい


自分を見つめるその冷たい瞳。

笑顔だというのにそれはこちらを凍り付かせるように


もう二度と名前を呼んではくれないのではないか、そんな錯覚に陥る。











離れた距離は果てしなく









「ごめん滝。つきあってもらっちゃって・・・」

授業の合間の休み時間。

一つ上の学年クラスが連なる廊下。

ネクタイの色で学年を区別する制服のため、違う色をまとっていればそれはそれは目立つ。


だがしかし目的の場所はこの階にあって。

一人では少々挑みにくい。


そのため滝と共にこの場所にいるのだ。

「ほら、さっさとそれ渡して尾浜先輩に謝るんだろう?」

きれいな笑みと共に差し出された手を握って一歩足を踏み出した。




謝ろう。その考えは帰ってこないその人のせいであっけなく壊されて。

あの言葉は自分が悪い。

自分から彼に言葉を発さなければことは進まない。

お弁当という拒否されるかもしれないアイテムではあれど、何もないよりはましで








「あ、妹。」

目的の教室の前、恐る恐るのぞき込めば目的の人物の姿は見えず。

代わりに以前紹介された黒髪の綺麗な先輩が姿を現した。

をみて間違いではないが、なんともいえない言い方をされて微妙な気分になる。


「久々知先輩。」

「ん?ああ平か。」

何気なく会話を交わす二人にあれ、と首をかしげる。

「滝、知り合い?」

「ああ、まあ。」

なんともいえない表情をして言葉を濁す滝。

それを上手にスルーして久々知がを見る。

「どうかしたのか?」

「ええと、尾浜先輩は・・・」


目的の人物が見つからなかったため久々知に問えば困ったような表情を返された。

その視線はどうやら自分のもつ手提げ鞄に向けられていて。


「今日はお昼ないからお昼までに何か買ってくるっていってさっき出て行ったんだ。」


受け取ってもらえるとは思わなかったけれど、まさか会うこともできないとは思わなくて。


「あー・・・」


肩を落としたの頭を滝が優しくなでる。


「預かっておこうか?」


久々知の言葉にそっと顔を上げれば、ふわりと綺麗に笑みを浮かべる姿。


「俺としては早く仲直りしてほしいかな。」


くつくつと笑うその姿はなんというか、本当に綺麗だ。


「勘右衛門が泊まりに来るのは楽しいしうれしいけれど、どことなく不機嫌なあいつはちょっとばかり面倒だから。」

昨日帰ってこなかったのは久々知の家に行っていたからだと発覚して、ちょっとほっとした。


「お願いしてもいいですか・・・?あの、もしいらないって言うようでしたら、食べてくださってかまいませんので。」


そういえば一つうなずいて慰めるようにぽんぽんと頭をたたいてくれた。




























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