ドリーム小説



















そんなことはないだろうと思いながらもほんの少しだけ期待していた。

学び屋とされるのであればあの子がいるのではないだろうか、と。

だから少しだけこの場所で、あの子を探してみようかと。

そんなことを思っただけだったのに。




心臓がひどい音を立てる。

狂ってしまえと訴えるかのように。

呼吸を壊すかのように。




青色がかった髪は、あのときよりもずっと艶やかで。

ぼろぼろだった衣服は、最近ようやっと見慣れたもの。

首に巻かれた布が、柔らかく風になびいて。



何も映さなかったあの瞳は、きらきらと綺麗に輝いていた。




「乱太郎、ただい___あんた、誰?」



乱太郎君を目にして、ふわり、微笑んだその表情。

それがこちらに移された瞬間、じわり、冷たい雰囲気をはらんで。



同時に、あの日と同じ瞳が、ちらりちらり、見え隠れする。



色を映さない、ひどく冷たく、感情のない、その瞳が。




みつけた




そう思うよりも感情は正直で、ぼたり、雫が頬を伝う。

すぅ、と細められるその瞳。

嫌悪感を前面に押し出して、ただ冷たい瞳は私を刺す。



「わわ!さんっ、どうしたんですか!?」


慌てたような乱太郎君の声。

でも、それはもう言葉として認識することはできなくて。



会えて、嬉しい。


君が、生きてくれていてうれしい。


笑っていてくれることが、どうしようもなく嬉しい。



嬉しくて嬉しくて

もう、満足だ。




そんなことを伝えることなどできるはずもなく。


「始めまして。といいます。体調が悪く倒れていたところを助けていただきました。」


「・・・へえ。」


感情のない声。

それは今の自分にとってひどく助かるもので。



「だけど、もう完治したから、この場所から失礼します。」


未だに頬を零れる涙は止まらないけれど、それでも、もうこの場所にいる意味はなくなったから。


「え!?さん、もう少しここにいるって・・・!」


乱太郎君の驚いた声に笑い返す。


「ごめん、な?学園長先生のところに案内してほしいんだけど?」


彼の言葉を遮るように、紡ぐ。


「・・・わかりました。案内、しますね。」


戸惑う彼に笑って見せれば、乱太郎君は困ったように笑ってくれた。







君が生きていてくれたことを知れたから


君が笑うということをしてくれていたから




もう、いいと思えた。





























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