ドリーム小説
「お暇させていただきます。」
まっすぐと、見えぬその双眸を見つめて言えば目の前の最高権力者はくしゃりと顔を歪めて笑う。
「望んでいるものに会えたのかのう。」
それに一つうなずくことで答えれば、さらにその表情は優しげなものになる。
「行くあてはないのだろう?」
それに苦笑して返せば一つうなずいてその人はさらに言葉を続けた。
「今日は一日ゆっくりしなさい。明日、街で働ける場所を紹介しよう。」
思ってもいなかったその提案に驚く。
「ありがとう、ございます。」
この場所においてくれたことに。
測らずしも、あの子とで会えたこの場所に。
心からの感謝を。
「おかえり!きり丸!」
「怪我してない?」
「お土産は?」
たった数日間だけの自室に戻るために廊下を歩んでいれば、小さく聞こえてきたにぎやかな声。
黄緑色の装束を身につけた子たちが楽しげに笑いあい、じゃれあっていた。
皆がキラキラと笑うその中に望む姿があって。
嬉しそうに恥ずかしそうに、笑うその表情が、とてもとても幸せそうで。
「ただいま!」
柔らかな声が、その表情全てが、ただ今の彼を作り出していた。
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