ドリーム小説
宵闇 拾参
「・・・・七松先輩。」
「なんだ!!」
「俺は学級委員なんですが・・・。」
「知っているぞ!」
「・・・でしたら何故、俺はこの委員会の時間に
運動場にいて、さらには一緒に準備体操をしているのでしょうか?」
「ん?何故なら今日、は体育委員会に参加するからだ!」
「・・・誰が決めたんですか?そんなこと。」
「鉢屋に言えば快く許可をくれたぞ?」
「・・・鉢屋先輩のあほう。」
放課後の委員会タイム。
その時間にもかかわらず何故かは学級委員長委員会室ではなく、ここ運動場にいた。
そもそもの始まりは授業が終わる鐘がなったそのときに戻る。
が委員会に行こうと席を立った瞬間に教室の襖が開き『委員会に行くぞー!』と言う声と共に滝夜叉丸だけでなくまで連行されたのだ。
「・・・何故俺を呼んだんですか?」
この先輩に捕まってしまったらもうどうしようもない。
滝夜叉丸から散々聞かされていたそれには仕方なく口を開いた。
「ん?助っ人だ!」
「・・・助っ人、ですか?」
小平太の口から出たその言葉にだけでなくその場にいた体育委員の面々も首を傾げる。
すると小平太はにぱりと笑い言った。
「雅が山菜を食べたいといったのでなっ!体育委員会で取りに行くことにしたんだ!」
「!それはそれは雅さんのためとあらば頑張らなければなりませんね!」
「雅さんが?ならまあ、頑張りましょうか。」
「いっぱい取りましょうね!」
滝夜叉丸に次いで3年の次屋三之助、1年の皆本金吾が口々に小平太の発言に返事を返す。
2年の時友四郎兵衛もこくこくと首を立てに振り肯定の意を示す。
彼らの瞳はどれも嬉しそうに輝いていて。
正直言えばはこの場から立ち去りたかった。
其れはもう切実に。
「先輩っ!頑張りましょうっ!」
「先輩っ、よろしくお願いします!」
「先輩。よろしくっす。」
だが可愛い後輩たちからそのように言われてしまえば逃げることも出来ず。
「・・・俺にわかる範囲であるならば・・・。」
仕方なくそのように返事した。
「頼んだぞ!!」
小平太のむかつくほど輝かしい笑顔と滝夜叉丸の申し訳なさそうな苦い笑み。
それらを目の端にいれ最近つくことが増えた溜息をこぼした。
「・・・ごめん滝。俺、七松先輩を見くびってた。」
「・・・ああ。解ってくれたならかまわない。」
どことなく哀愁漂う滝夜叉丸。
今現在の場所は裏裏山へとむかう獣道。
裏山でもこの時期ならば十分な山菜が取れるにもかかわらず、何故か裏裏山に向っていた。
それも体力馬鹿の異名を持つ七松小平太が裏山では物足りなかったのか、裏山についた途端
『裏裏山まで行くぞー!』
と叫んだ所為であった。
そのおかげで下級生である金吾と四郎兵衛は肩で息をして、さらには足元も覚束なくなってきている。
ちなみに三之助は先程から必死で滝夜叉丸が方向修正を行っている。
「、お前は大丈夫か?」
心配そうなその質問に思わず笑みがこぼれる。
この自惚れ屋で自尊心の高い友人は人一倍優しかったりするのだ。
「ありがとう、滝。俺は大丈夫。体力だけは、あるから。金吾、お前も頑張れよ。」
滝夜叉丸に返事しがてら目の前でつまずきかけた金吾を支える。
そしてそう言ってやればお礼の言葉とともにへにゃり笑って金吾は再び走りだした。
『いいか?。お前はとりあえず七松先輩についていくことを考えろ。・・・まあ余裕があれば金吾と四郎兵衛のことも見ていてくれ。私は、三之助を見るから・・・。』
始めに言われた其れだが、残念なことにすでに小平太の姿は見えなくなっていた。
そのためそれに従うのを諦めて、このように集団のようになって走っているのだ。
「わあ!」
「四郎兵衛!大丈夫か?」
「っはい、大丈夫、です・・・ありがとうございます、滝夜叉丸先輩。」
先程の金吾と同じように倒れそうになった四郎兵衛を滝夜叉丸が慌てて支える。
そのおかげで転倒を免れた四郎兵衛はほっと息をつき礼を述べる。
と
「っ、三之助っ!勝手に動くなっ!」
四郎兵衛のせいで足を止めたたちと先に進んでいたためそれに気づかなかった三之助。
その距離は開いていって、遂には三之助の姿が道から脇にそれた。
「おいっ!三之助っ!!」
「滝。俺が行くよ。」
「っ!」
いまだに四郎兵衛を支えたままの滝夜叉丸よりも自分の方が早い。
そう思ったはそう告げて走り出した。
三之助が消えた道なき道へ。
※※※
・・・ちゅうとはんぱだ・・・。
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