ドリーム小説
宵闇 肆拾玖
ひゅう
保健委員は用具に助けられて、一度体勢を整えるために姿を消した。
そのことに一安心した瞬間のこと。
見えないものが空気を裂く。
三郎が雅を守るように地面に伏せる。
それに続くようにして、八左エ門も横にいた一年生の頭を抑えて沈む。
と孫兵もそれにならう。
先ほどの保健委員たちのせいで仕掛けていた罠はほとんど意味を成さないものとなってしまったのだろう。
ちらり、三郎と八左エ門を見れば矢羽を飛ばされる。
それに頷いて、はそばにいた孫兵に後輩たちを任せると一気にその場から動き出した。
その瞬間へと向かって飛んでくる飛び道具の数々。
それをくないで弾き飛ばして、飛んでくる方向へと走り出す。
その間にも飛んでくる手裏剣などの武器たち。
下級生もいるので、それらの刃はつぶしてはあるが、やはりあたればそれなりのダメージだ。
(くる)
そう感じた瞬間、目の前に現れた縄票。
それは寸分の違いもなくへと向けられていて。
くないを使って何度かはじく。
が、それは生き物のようにに付きまとってきて。
「くそ、」
舌打ちを漏らして姿勢を低くする。
まだ空中に居るため、俊敏には動けない。
「、いたっ、」
「一平!?」
の後ろから聞こえてきた声。
それはまだ幼い後輩のもので。
ちらり、敵が前に居ると言うのに思わず目をやってしまった。
その一瞬。
目の前には明らかなまでにを傷つけようとするもの。
「っ、ちゃんっ!!」
叫び声が遠く聞こえる。
やばい
そう思った瞬間、ふわり体が浮く感覚。
それは後ろからで。
微かに目の端に映ったのは蒼と銀。
「っぶねー・・・大丈夫か?」
「は、い。・・・ありがとうございます。」
がおとりとなって飛び出して、他の気を引いていた間に準備は整ったのだろう。
姿を現した図書委員にゆっくりと向き直る。
「え、え・・・!雅さん、が、・・・二人居る・・・?」
怪士丸の下級生らしい言葉に一つ落ち着くための息をはいて。
「鉢屋、先輩ですよね?」
鋭い指摘はきり丸のもの。
それに雅の周りをさらに頑丈に囲む一年たち。
「雅さんを巻き込むなんて、何考えてるんですか・・・」
久作の声には攻める響きが混じる。
「三郎。変装しても無駄だよ?僕が騙されるって思ってるの?」
雅と共に座り込む、もう一人の彼女に向けて発する言葉。
そのまなざしは凪いではいるが奥には激情が垣間見える。
ふるり、二人の雅が共に震える。
そうして二人が同時に口を開く。
「「さて、どちらがどちらでしょうね。」」
それに眉をひそめた雷蔵に、縄票を構えなおす長次。
まっすぐと鋭い目でこちらを見るのは、きり丸。
震えながらもくないを構えた怪士丸。
ゆるり姿勢を低くした三郎次。
でも、それらの姿をあざ笑うかのように、
笑ってみせる。
あたりに満ちるのは獣の気配。
にやり不敵に笑うのは生物委員の面々。
「さて、お前ら。遊びの時間だ。」
それが合図
「反撃、開始だ。」
※※※
生物のターン
図書登場
・・・みじかい
back/
next
戻る