ドリーム小説





 宵闇 伍拾










生物のおかげでなんとか図書を撃退して。(はっきりいって学級は何もしていない。雅さんの護衛にまわっていただけだ。)

そうして先ほどの流れくないに当たった一平の手当てをしてやる。
出血は多いが、あまり傷は深くないようで。

「ごめんな、上ノ島・・・。俺がうまくよけられなかったから・・・。」

その幼き腕が白く巻かれていく。
それもがよけたものがあたった。

のせいといっても過言ではない。

「大丈夫ですよ、先輩。僕がよけられなかったのがだめだったんです。」

しょんぼりと肩を落とし包帯を巻いていくに一平は優しく笑っていった。

それでも落ち込みが見られるに一平はさらに笑む。

「じゃあ僕も先輩って呼びたい、です。彦四郎ばっかり、ずるいですから。」

そのほやほやした雰囲気に思わず抱きついたは間違いじゃないだろう。

それからはまた音沙汰なく
あたりはようやく日が暮れる近くまで来た。

夕日が目に優しく映る。

「さて、これから闇に入る。」

「つまり攻められやすくなる。」

「気配を悟れ。油断をするな。敵を侮るな。己を過信するな。必ず雅を守れ。」

絶対に、だ。

そう言った三郎の顔は真剣。
・・・だが雅さんの顔だ。

「一年は必ず雅さんのそばに。」

「二人ずつで組を組め。」

「孫兵は俺と共に。見張るぞ。」

「わかりました。」




月が空からみおろす。
その光は優しくとも、忍びにとっては不必要なものだ。

あたりには静かな虫の声だけが響く。

木の上に身を潜める八左エ門と孫兵。
とくに八左エ門は本当に獣のようだ。




    虫の音が

         止んだ




「なにかくる」









がさりがさり

それは次第に近づいてきていて。

寝ていた一部の1年生たちも起きだして、緊迫な空気をかもし出す。

その間に囲まれた雅もぎゅ、と近くに居る三郎にすがりつく。
その腕を優しく叩いて、雅の格好をしたままで雅と同じような姿勢をとる。



ゆるりゆるり

空気が揺れる。



現れたそれは、学園一忍者しているといわれている男だった。


「ちっ、こんなときに、お前らかッ!!」

その様子は尋常ではない。
その証拠にいつものおきまりの言葉でさえ出ていない。

忍びらしからず、息を切らして。
両脇に水色の1年生を抱えている。
(二人はぐったりとしている。)
その体はいたるところが焦げ付いていて。

その様子は札を奪いに来たようにはみえない。

違和感を感じはする。

でも、見逃せば、次には何がくるかわからなくて。

雅を守る。

今の優先順位第一忍務はそれで。

「左門、手を放すな!」

「何がうれしくて、先輩と手をつなぎ続けなきゃいけないんですか!?」

「私も早く離したいに決まっているだろう!?」

その文次郎の後ろから現れたのはのこりの会計委員。

「っ、先輩!こんなとこでじっとしてるなんて、無謀です!」

必死な三木エ門の姿に首をかしげる

「っ、、すぐにここから離れろ!」

三木エ門の目にが映った瞬間発せられたそれは忠告のよう。

かといって、従うことも、見逃すこともできず。

その目にはただただ必死な色が浮かぶ。




「頼むから、退いてくれ!!」

その懇願するような響きに思わずその場に居たものすべてが固まる。

あの、潮江文次郎が?

頼んだ?

固まった空気は一瞬。

すぐにざわめきが広がる。

ざわめきと共に広がっていくのは疑心。

この人は本当に潮江文次郎なのか?


再び構える学級と生物。






「っ、先輩っ、来ますっ!!」

後ろをじっと見ていた三木エ門が叫んだ。

それはあたかも地獄からの迎えが来たかのよう。

それに再び舌打ちを漏らして、そうして文次郎は三木エ門を後ろに下がらせて一年二人を渡す。

「お前ら、覚悟はいいか?」

静かに聞こえたそれは、意味が取りきれるものではなくて。


その意味を知ったのは、いまだに木の上で偵察を続けていた孫兵の声によってだった。


「何か来ます!数は約9!・・・9?!」






その瞬間一瞬にしてその場の空気が

        凍りついた


「見つけたぞ?文次郎。おや、学級と生物もいるようだな。ならば好都合。さあ、渡してもらおうか?」



学級、生物。皆の心が一つになった。

潮江先輩信じなくてすみませんでした。


満面の笑みを浮かべた立花仙蔵。
その後ろには静かなるも存在感をかもし出す久々知兵助がいた。

従うのは罠のエキスパートがそろう作法委員の面々。
そして火薬の扱いに長けた火薬委員だった。



「なんでよりにもよって、火薬と作法なんだ・・・・・・」




八左エ門その言葉は皆の心に深く響いた。


「鉢屋。私に変装が通用すると?そう思っているならば、後悔させてやろう。」

「もちろん思ってませんよ、立花仙蔵先輩。」

不敵に笑むは二人の天才。
「八。予算がかかっているんだ。容赦など、しない。」

「まあ、俺もするつもりはないけどな。」

戦場に似合わないにかりと笑って。

「おやまあ。じゃない。三木もいるね。さて、それでは私も頑張ろうかな。」

「いや、頑張らなくていいよ、喜八郎。」
「頼むからじっとしててくれないか・・・」

無表情の彼に二人は疲れたように。

「あれえ、三木だけじゃなくてちゃんもいるねえ。」

「タカ丸さん、ちゃんずけはやめてください。」

、そんなこと言ってる場合じゃない。」

ふにゃりとした顔、微かにずれた思考に入る突っ込み。

「孫兵、俺たちは負けないからな。」

「藤内。僕も、負けるつもりなんてないよ。ねえ?じゅんこ。」

首もとの蛇がゆるりすりつく。

「ごめんね、三ちゃん。」

「行くよ?庄ちゃん。」

「「え?!俺らは?」」

「団蔵はべつに。」

「虎若も、ねえ。」

「精神攻撃だよ。団蔵、虎若。」

「「庄ちゃんの冷静さが今すっごく頼もしい!」」

1年らしいほのぼのとした空気をかもし出す。
「彦四郎、一平、本気で行くから。」

「かかって来いよ、伝七」
「ええと・・・お手柔らかに・・・」





「覚悟してくださいね、学級、生物の皆さん。」

「そして会計のかたがた。」

その言葉が、合図。





札を持っていたのはまさかの作法委員長様だった。










※※※
あんさー
この組み合わせが書きたかったから。

ごめんなさい
せりふがなかったのは、仕方ない。
学年、同じので対応させたくて。
このようにしておきながら、次は対戦相手がばらばらというね・・・












back/ next
戻る