ドリーム小説








※46巻の新キャラが登場してますですよ。
ちなみに思いっきり想像、というか捏造ですね。はい。
許せないって方は読まないほうがいいかもです。

ok!いけドンだぜ!ってかたはどうぞ。





















宵闇 伍拾伍







6年生が居ない状態というのは、なんとも静かで、それでいてとても恐ろしい空間だと思った。




暖かい午後の陽だまり。

そんな中は学園の日当たりがいい木のそばでぼおっと考え事をしていた。

頭に浮かぶのは、彼女のこと。


          すり抜けた、手

     驚きと恐怖に染められた、表情

 ただただ呆然と見送ることしかできなかった、自分


彼女は帰るのか。

あの世界に。

がどんなに焦がれても、どうするすべも示してくれなかったこの世界は、彼女を再びあの世界へ送り出すのか。



空は青く、天気は快晴。

それでもの心には黒い暗雲が立ち込めて。

何度も彼女がこちらを伺うように見ていたのを知っている。

彼女と話すべきなのは解っていながら、話すことができない臆病な自分を叱咤する。

手を青い空に向かってかざして空を切る。

つかめない何かを掴むかのように。

無意識に溜息が落ちた。



不意に感じた近づいてくる気配。

いつもならもっと早く気づいたのに、油断しすぎていたようだ。
この学園の中、たった一人の気配に慌てて立ち去ろうと地面に手を付いた。

その瞬間、

目の前が暗くなる。

何かにさえぎられたみたいに。

驚いて見上げれば、そこには蒼。

逆光で見えないそれは、でも知っている人で。

ぽんぽん

優しく頭を撫でられたらへにゃり、力が抜けて。

黒い髪がさらり、風に揺れる。


ちゃん、」

現れた彼女はこちらに声をかけて、でも、目の前に居る一人の先輩に気づき、声を止める。

「雅さん」

目の前の彼が言葉を発する。

それは優しく、透明な音。

「勘右衛門くん・・・」

「どうかしましたか?」

「え、と、ちゃんに用があったんだけど、・・・また後にしますね。」

ちらり、一度こちらを見てから、再び先輩に向き直って。

ふわり笑って去っていった。

その笑みが泣きそうなものに見えたのは、気のせい、だ。


「・・・尾浜先輩、ありがとうござい、ます・・・」

「ん?何のこと?」

ふにゃり、小平太や八左エ門とはちがう、控えめな笑み。
それはたとえるなら月の様。
優しく見守ってくれる、温かな光。

本当に何のことかわからないように首をかしげる。

「俺はが笑ってくれるなら、なんでもしたげる、よ。」

心のそこを柔らかく、解していく。
その笑みに。

「それでも、ありがとうございます。」

「ん、・・・お礼なら、別のものがいいな。」

一度考え込んだ後しゃがみ込んで同じ視線になった勘右衛門はを覗き込んでそういった。

「え、と、でも・・・」

「だめ?。」

「う、あ・・・」


ふにゃふにゃした顔。
でも眉を少し下げて。


それに耐え切れなくなって、は一つ溜息にも近い声を出した。


「ありがとうございます・・・勘ちゃん先輩。」


勘右衛門の今日見た中で最も綺麗な笑みが零れ落ちた。

「どういたしまして!。」


再び頭に手を載せられて。
優しくかいぐられる。

不快なものではないので、されるがままぼおっとその楽しげな顔を見ていた。

「大丈夫だよ、。先輩方が居なくても、俺たち五年生がいるだろう?」

「え・・・?」

「それとも、俺たちは信用できない?」

何もかも見透かしたような笑み。
でも目だけは鋭くて。


一瞬泣きそうになった。


ふるり

頭を一度横に振って否を示す。

柔らかくなった空気と共にとまっていた手が再び動き出す。


「あー!!」

突如現れた第三者の声。

それは大変よく聞きなれたもので。

勘右衛門と二人してそちらを向けば、そこには委員会の先輩。

「勘!お前、は私のところのだ!手を出すな!」

いつもでは考えられないほど、取り乱した様子の三郎。

その姿は新鮮で。

思わずぽかんとしてしまったの体に暖かな腕が回される。

「可愛いよね、って。」

「わ、」

耳元に直接伝わる声は頭に響いて。
思わず驚きの声がもれた。

「!・・・勘右衛門っ!」

切羽詰ったような声。

「ねえ、、三郎なんかのとこはやめて、俺んとこにおいで?」

「へ?」

くすり、笑う声は暖かい。

「可愛がったげるよ。」

さらにぎゅうと腕が強まる。
目の前が蒼い色につつまれて。

「勘右衛門!」

三郎の声を聞き流して、慌てて勘右衛門に呼びかける。

と、

「勘ちゃん先輩、「ちょ、!私のことは名前で呼ばないくせに勘のことは名前呼びだと!?」・・・」

衝撃を受けたのであろう声色で、聞こえたのはすぐそばで。

変わる視点。

右端には茶色。
目の前は空と地面のコントラスト。

あまりにも綺麗なその色に目を奪われるも一瞬のこと

「っ、鉢屋せんぱ「三郎。」い・・・?」

声を上げれば腹の近くから声は聞こえて。

。私は三郎、と呼んでくれないのか?」
見ればは俵のように担がれていて。

「え、ちょ、おろしてくださ、「が呼んでくれたらな。」い・・・」

ふいと、目をそらすその姿はいじけているよう。

思わず笑みがこぼれて。
子供っぽいその姿に無意識に声は出ていた。

「三郎、先輩。」

ぱっと、一瞬でこちらを見て、三郎はふんわり、いつもとは違う笑みを見せた。

「あーあ、、とられちゃったや。」

「だから、やらん。私のだ。」

からは見えない位置の二人はそんな会話をしていて。

くすくす笑う声と同時に聞こえたのは勘右衛門の声。

、嫌になったらいつでも俺のとこにおいで。」

その言葉を最後にの目の前は風のように早く、移り変わった。

「行くなよ、。」

「・・・行きませんよ、庄や彦が居るんですから。」

「・・・庄たちだけか・・?」

「・・・もちろん三郎、先輩も。」

担がれながら景色を目に映して、速度に振り落とされないよう三郎の服を掴む。

頬が熱いのは気のせい、だ。












※※※
我が宅の勘ちゃんです。
ようやっとだせた・・・!
とりあえず、説明しときますと、勘ちゃんはにとって、優しい先輩。相談相手。
入学したころに助けてもらったとかなんとか(裏設定?)
性格は、常識人。でも人をからかうのは好き。
やらかい物腰だけど、言葉は男前。
そんな感じ?呼び方は5年からは勘、で。
真剣なときは勘右衛門。

さて、は6年が居ないことを怖がってます。
この間の雅のことがあったからなおさら。
という感じ。

ちなみにこの後、三郎はを担いだまま4年組に見つかります。
はい。きっと。









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