ドリーム小説
宵闇 睦拾伍
「次、伍、前に。」
校庭に声が響く。
呼ばれた自分の番号に、ゆっくりと立ち上がる。
自らがどれほど成長できたか、それを確かめられるとき。
去年までは見ることしかできなかったそれに、今回は参加する。
それは、もう自分が何も知らないままではいられないということで、全ての覚悟を試されるときで。
最後まで体に触れていた喜八郎が一つ、背中を押してくれた。
それに微笑んで、前に、でる。
同じように前に出てきたのは、深緑。
とくん
一つ胸が緊張の音を立てた。
鋭いその瞳は、誤解されやすいけれども、話してみればとても優しい人。
仕方がないなあと壊した備品を治してくれる人。
学園一忍者しているという文次郎と対等にやりあえる人。
そして、このあいだに手を振り上げた人。
「人数の関係で、は4年で食満は6年だが一対一でやってもらう。」
先生の声に頷き、お互い顔を見やる。
「よろしく、お願いいたします。」
「ああ。こっちこそ。」
武道派らしいその構え。
隙は見えない。
2年の差を、すでにひしひしと感じる。
息を吸い、はく。
そうして自らを落ち着かせて。
心を無心に
ただ相手だけを見据える。
力じゃ勝てない。
技術じゃ足りない。
唯一対抗できそうなのは、素早さだけ。
追いつけないならば、その先を見て、先回りするしかない。
力で押せないなら、いなして体勢を整えるしかない。
技術で足りないならば、素早さで補うしかない。
そんな明らかな劣勢だというのに、心は躍る。
「開始」
その合図はのリミッターをはずすもの。
一気にその懐に踏み込む。
それを見越されていることは、予想済み。
あえて直前で一歩踏みとどまりためる。
まともに進んでいればそこには彼の足が振り下ろされていて。
踏みおろされた足を踏み台に彼の上に飛び上がる。
そうして彼から見て逆光となる位置まで一気に動くと、そのままの勢いで彼の後ろに降りる。
着地と同時にとばされたくないをしゃがむことでよけ、そのまま足払いをかけて。
あっさりとよけられたそれに舌打ち一つこぼすと、距離をとるために一気に後ろに飛びのく。
が、同じ勢いで留三郎も迫ってきていて。
咄嗟に体を沈める。
一瞬前までいたところに棒手裏剣が投げられていた。
前に出ても、とめられる。
再び後ろに下がり近づく彼にあえてこちらから近づく。
ぐっと足に力を込めてくないを構える。
首もと目指してそれを投げる。
簡単な動作でかわされたが、それでもその場所から抜け出すには十分。
だけど
目の端に映った鮮やかな着物の色に一瞬目を奪われた足元がおろそかになった。
それが、敗因。
すべる足元
支えがきかない体
咄嗟に手を付こうとするが、それよりも自らに迫る刃から身を守ることのほうが大切で。
両手に構えたくないを首元で交差させて迫り来る刃をはじく。
飛ばされたくないに眉をしかめて。
(腕はいらない。生きることが先決)
そう思うより早く、体は動いていた。
腕に走る熱。
それは痛みではなく、熱。
体が痛みと感知するのを拒否したように。
「っ、」
喉からあふれそうになる絶叫に腕を強く握ることでたえる。
目の前の留三郎の焦ったような顔に、この人はなんてわかりやすいのかと思わず苦笑する。
「だいじょうぶ、ですっ」
絞り出した声はかすれていて、留三郎の顔がさらにゆがむ。
「!」
「っ!」
叫び近寄ってくる伊作に、三郎に、喜八郎にやんわり微笑んで見せたその瞬間
「い、やあああああああぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」
響く絶叫
崩れ落ちる彼女
驚き固まる先輩や後輩たち。
なんでここにいるのだとか、なんで見てしまったのだとか、その声によってパニックを起こした頭は考えることを拒否するかのように動いてくれなかった。
※※※
急展開?
留さんは悪くないです。
の注意力満撒が悪い。
ちゃんと私留さん好きですよ?
なんかこの連載では悪い人みたいになってますけど・・・。
実は決定してました。他の組み合わせ。
伊作vs文次郎
八vs喜八郎
勘ちゃんvs兵助
仙蔵vs三郎
長次vs雷蔵
三木 滝vsこへ
んで
留vsです。
タカ丸さんは見学。
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