ドリーム小説
宵闇 睦拾睦
食堂のおばちゃんに頼まれたおにぎりを、校庭に運ぶ。
いつもは授業中でも微かなざわめきがあるこの学園に、今あるのは静寂。
向かう場所、校庭から微かなざわめきが聞こえてくるだけ、だった。
近づけば近づくほど大きくなるその場所の音は金属音。
見えたそこには色とりどりの装束を着たみんな。
体に走った恐怖に知らないふりをした。
たどり着いたそこ
目に入ったのは
崩れ落ちる紫に
その前に立つ深緑
そして
撒き散らかされた 紅 。
「い、やあああああああぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」
目の前が真っ暗になると同時に、喉からあふれるのは絶叫
怖い怖い、もうこんな場所にいたくない。
大切な友人を、大事な仲間たちを手にかけなければ生きていけない世界になど、存在していたくなど、ない
たとえ、それが、彼らの世界だとしても
手に持っていた、おにぎりの入ったお盆が地面に落ちていった。
崩れ落ちる体を自分で支えることもできず、ただ揺らぐ視界を確保するのが精一杯で。
皆の驚く姿にも、駆け寄ってくる人たちにも、何も言えなくて。
そうして、耳に入ったのはとてもとても懐かしくて、待ち望んだ、音だった。
back/
next
戻る