ドリーム小説







 宵闇  漆拾漆














4年生の子達の話を聞いていればそっと近づいてきたいくつかの気配。

振り向けば蒼色が立っていて。

「始めまして。のお師匠であるとお聞きしました。」

「はい。師匠の彰義ともうします。あなたのことをお聞きいたしても?」

「私は鉢屋三郎と申します。さんの委員会の先輩のほうをやらせていただいております。」

そういって優雅に一礼して見せた彼、三郎君の顔を見てとても感心する。


「すごいですね。よく変装できています。」


それに微かに目を開いて、そしてにやりと笑った。

「やはりプロの方には通用いたしませんか?」

「いえ、通じますね。三郎君ほどの腕でしたら。」

それに今度はきょとり不思議そうな顔になって。

「ふふ、あなたの後ろにいらっしゃる同じ顔をした方が困ったようにこちらを見ていらしたので。」

「え、僕、ですか??」

そのやはり困ったような顔にふわり微笑んで。

「『僕の顔で何をやらかすんだろう』という表情でしたのでね。」

そういってやれば三郎くんは悔しげに苦笑した。

「よければ後で少し変装についてお話でもいたしましょう?」

「え・・・いいんですか?」

その瞬間だけは確かに年相応。
可愛い子供だ。

「いつもが世話になっているのですから、それくらい構いません。」

「では、お願いいたします」

不敵な笑みは彼の本来の性格そのものをあらわしているようだった。







彰義さん」

こわばった声で呼ばれてそちらを見れば深緑。

「はい。なんでしょうか?」

そういえば緊張した様子で彼は口を開いた。

「私は食満留三郎といいます。・・・の腕を傷つけたのは私です。申し訳ありませんでした。」


そこまで言って頭を下げる留三郎くん。

謝る必要などどこにもないというのに。

その頭をふわり一度撫でて言う。

「顔を上げてください。留三郎くん。あなたが謝る必要などどこにありましょうか。腕を傷つけたのはあの子の失敗です。あなたに落ち度などありませんよ。」

そういえば驚いたような顔の後もう一度頭を下げて言った。

「ありがとうございます。」

そしてしばし考えた後、そっと再び口を開いた。

「よろしければ一度お手合わせ願えませんでしょうか・・・?」

向上心があるのはとてもいいことだ。

微笑んで了承の意を示してやれば、彼の後ろのほうで同じ服を着た少年が立ち上がり怒り出す。

「留三郎!!お前ぬけがけは許さんぞ?!」

「はっ、行動に移さねぇお前が悪いんだろうが!」

そんな二人を横目に残りのご飯を食べきる。

うん。確かに食堂のおばちゃんのご飯はとてもおいしいものだ。

さてさて食べ終わったらまず三郎君とお話しようか。









この子達の成長を見守るのはたいそう楽しいのだろうな。

この学園に居る教師たちを見てそう思った。















※※※
師匠と先輩。
描くのは楽しかったです。・・・需要ないんだろうなあ・・・。












back/ next
戻る