ドリーム小説
宵闇 玖
最近様子が変わった友人。
入学したときから一緒で、いろんなことをお互いにしてきたししてもらった。
持ちつ持たれつ。
それがわたし、綾部喜八郎ととの関係。
初めて会ったときの印象は、変な人、だった。
私自身がよく言われていたそれだが、そのわたしが思ったのだからさらに変な人だったと思う。
見た目は普通。
本当にごく平凡な顔。
人ごみにまぎれられたら、見つけることが難しいであろう。
それくらい特徴がなかった。
休み時間はぼおっとしてたり、読書とかをしてることが多かった。
(わたしはこのころに穴掘りの楽しさを覚え、休み時間のたびに手鍬を持って消えるようになっていたが。)
1年生の癖に妙にいろんなことを知っていて、実技の授業とかでも何でもないような顔で1番の成績を取っていたり。
(後から聞けばそれはが師匠と呼んでいる人のせいらしかった。)
この頃は何も知らなかった。
お互いのこと。
初めて話したのは入学してきて1ヶ月くらいたった頃。
昼休みが終わってもが授業にこないことがあった。
入ってきた教科担任が『あれ、はどうした?』とかいって始めてそのとき気づいた
そのときはそういえばいないな、そう思っただけだった。
その日が終わって夕食までの自由な時間をわたしはいつものように蛸壺を造ることに決めていて。
手鍬をもって昨日の続きと称して校舎裏へと向った。
「・・・おや?」
昨日の掘って隠した場所。
その蛸壺(ちなみに名前はたーこちゃん3,5号で、いつもより倍掘ってみた。)が何故かあいていた。
不思議に思い近づき覗き込めば中で何かが動いた。
「おやまあ。」
微かに見えるのは人の姿。
私の影のせいで中にいる人物までは特定できなかった。
が、その人物(・・・言いにくい。人でいこう。)、人はその影によって覗き込まれたことに気づいたのであろう。
ゆっくりとこちらを見上げてきた。
ゆらり
見えないはずの瞳が微かな光を反射させてわたしをみた。
ぞくり
背を駆け上がるような感覚。
その瞳は確かに私を映した。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
お互いの間に無言が生まれるがそれは何故か不快なものではなくて。
何か、何故此処にいるのかとか、どうして上がってこないのだろうかとか聞きたいことはいろいろあったのに。
「この蛸壺はいごこちがいいね。」
その一言でわたしはこの人という人格を垣間見た気がした。
「・・・もうこんな時間だ。午後の授業さぼったな・・・。」
空を見上げ傾き行く夕日を眺めながらその人、はいった。
引っ張り上げたときに(とても、軽かった。)やっとその人が同じ組のだとわかって。
「あの蛸壺は綾部が作ったのか?」
その質問に作ったことがばれたよりも、名前を覚えられていたことに驚いて。
「すごくうまいな。俺には真似できないや。」
振り返ったが浮かべた笑顔にこちらまで思わず顔がほころんだ(気がした)のだった。
そんな出会いから早4年。
今ではお互いに名前で呼び合う間だし、何かで組むときもとわたしとそれから滝夜叉丸が一緒になることが増えた。
(滝夜叉丸との出会いもおもしろかった。)
がわたしとは大きく違うことを知ったのは確か2年のときで。
(このことはめんどうだから、また今度。)
それからさらに一緒にいるようになった。
無防備なを見ているのはとても疲れるがわたしが一番落ち着けるのもそこであったから。
(調子に乗るから言わないが、滝夜叉丸や三木ヱ門、タカ丸さんたちと含め5人でいるのも好きだ。)
そんなが変わったのはとよく似た雰囲気の人が、異世界の人が来てからだった。
とりあえず会いたくないみたいだから夕ご飯だけは部屋まで持って行ってあげている。
そのたびに申し訳なさそうに謝るのだ。
(わたしはかまわないのに。わたしが嫌ならやるはずが無い人間だと知ってるでしょう。)
いつの間にか背はを当に追い抜かして、実技の成績もわたしのほうが上で。
この違いには悔しそうに笑った。
それはどうしようもない違いだというのに。
「・・・え、と・・・」
その声でゆっくりと意識を浮上させればそこには蛸壺のたーちゃん8号にはまっている女の子。
(そういえば此処を歩いていたら助けを求められたんだった。)
その手を掴み引っ張り上げてやる。
その女の子はふわり、とても綺麗に微笑んで、
(たとえるなら花が咲くかのように。)
「ありがとう」
といった。
デジャウがするのは気のせいだきっと。
ことり
一瞬胸が大きく音を立てた。
これは一体なんだろうか。
※※※
ヒロインと綾の思い出&綾とトリップさん初対面
back/
next
戻る