ドリーム小説
宵闇 五十八
「っ、きはちろぉ!!!!!」
振り向いたそこ。
見えない姿、姿なき声。
でも、体は突き動かされるように動き出した。
「喜八郎!?」
私の様子を見に来たのであろう三木やタカ丸さん、滝を横目に私は走り出した。
が消えたあの場所へ。
空は夕闇色。
紅く染まるそれを素直にきれいだと感じた。
「喜八郎!?」
飛び出してきた喜八郎の名前を呼んだというのに、まるで聞こえていないかのように走り抜けていく。
「っ、追いかけよ!」
タカ丸さんの声に私と滝も動き出して。
全力で追う。
門を出ていく際の出門表すら無視していく喜八郎。
それを驚きながらも追いかける小松田さん。
今、喜八郎を止めてはいけない。
そんな思いに駆られて小松田さんが持っていた出門表を奪い私たち4人の名前を書いた。
「田村!今綾部が出て行ったのが見えたがっ__」
「わかりません、でも、行かないといけないんです!」
叫んだ私に何かを感ずいたように鉢屋先輩が動き出す。
そばにいた他の5年生たちはそれぞれ目を見合わせて。
鉢屋先輩と同じよう動き出したのは不破先輩と尾浜先輩。
学園の中に散らばっていったのは竹谷先輩と久々知先輩。
それを眼の端で微かに認識して、そうして私たちは喜八郎の後を追って走り出した。
※※※
さぶろうと雷蔵、勘ちゃんは何かを気付いたのと、
4年を一人で生かすわけにはいかないと思って動き出したのです。
残りの二人はほかの人たちに告げに行きました。
ええと、上級生と先生に。
・・・みじかいや。
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