ドリーム小説







宵闇 喜八郎5















ねえ、どうして?

その言葉が頭から離れなかった。



彰義さんと会話して、そうして戻ったのところ。

その時からが可笑しくなった。



私が抱きついて逃げるなんてこと、最近ではなかったのに

けど、それで感じた衝撃は嫌なものではなくて。

だって、だって


その顔が赤いなんて、うぬぼれてしまうよ?


意識してしまったから逃げ出したんだとそう言う風に思ってしまうよ?







授業中もどこか上の空。

私が見ていても気がつかないほど。

誰のことを思っているのか何を考えているのか。

の頭の中がのぞけたらいいのに

ねえ、

私が見ているのに気がついてないの?

私が見ていることを感じてないの?











ぎくしゃくしたのが続いていたそんな日。


委員会の途中で部屋に現れたのは結縁。

はっきりいって結縁はすごい。

考えつく罠が半端なものではない。

その証拠に仙蔵先輩も彼女を快く受け入れているし、水色二つも興味しんしん。

藤内ですら、彼女が来たときはさらに熱心になる。


私も彼女のことを認めている。


だから、尾の場所にいることを許しているのだから。


不意に立ち上がった仙蔵先輩が襖をあけてそこにいたに驚いた。

珍しくも気がつかなかったことに少々ショックを受けながらも名前を呼べばこちらをみて微かにほころぶ頬。


ああ、だから駄目だよ

が私のことを好いているのではないかと間違えてしまうではないか。

けれどもその瞳は私の隣の結縁を観た瞬間揺れて、そっと視線が外された。

あれ・・・?

「ではさっそく仕掛けてまいります。行きましょう?喜八郎さん。」

可笑しくは思いながらも仙蔵先輩に連れてこられたと入れ替わるように庭に下りた。

さっきどうしてあんな風に目をそらした?

わからないことばかり

でも、もしもうぬぼれてもいいのなら。


、君は私に嫉妬した?


少しだけ浮かんだ可能性。

自分に都合がいいことだとわかっていながらすこし笑みが漏れた。




だから、私は知らなかった


その時の結縁の泣きそうな顔も

が困ったように見つめていた私たちのことも。















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