ドリーム小説
宵闇 三之助3
三之助を見つけて嬉しくて、木の下に座っているということはへばっているのだと思ったから手を差し出した。
そうしたら逆に引っ張られて三之助の上に落ちる。
受け止められた手はあったかくて大きくて自分とは全然違うなあと思って。
頭に顎を載せるように皆が迷子になるとつぶやく三之助。
その言葉はなんだか出会った時のことを思い出して笑いが漏れた。
はじめて出会った時から、いままで。
ずっとずっと
可愛い後輩。
そう思っていたのに。
何がきっかけかわからない。
「早く帰らないと喜八郎も心配するだろうからな。」
そう言った瞬間、どことなく気配の変わった三之助に気づいてはいた。
でも、深く考えることはせずに立ち上がろうと腰を上げる。
「喜八郎に何も言わずに出てきたからなあ。」
そう言って笑って三之助を見れば
再び腕を掴まれて、
引っ張られて。
腕に閉じ込められて
抱きしめられて
先ほどとは違うその抱きしめかたに体中が沸騰するかのように熱くなった。
どくん、
一度大きく胸が鳴った。
驚いたけど、その正体がわからないから何でもないふりをして。
のに、
そのまま頬を手で挟まれて。
三之助の顔が近づいてきて
近くで見た三之助の顔が怖いくらい真剣で
どくん
胸が微かに音を立てた。
それに気づかなかったふりで三之助の名前を呼ぼうとしたのに
「どうした?さんのs_っ、」
出たはずの言葉は重なった何かに吸い込まれて
今まで感じたことのない感触が唇に走って
目の前の三之助の顔があまりにも綺麗で
背筋がぞくりと した
少しだけ開いた距離。
息が自由にできるようになって。
そこでようやく気がついた
今、キス、された・・・?
頭よりも先に体中の体温が上昇して、顔がとてもとても暑くなる。
「さ、んの、すけ・・・?」
思わずつぶやいた声は三之助の言葉によって消されて。
「俺の前で、俺と二人きりの時に、俺以外の名前を呼ばないでくださいよ。」
体中の体温がさらに上昇する。
それって、どういうこと?
問いかける間もなく妖艶な笑みを浮かべた三之助は距離を置いて。
新たな気配に足を向けた。
どういう、意味?
今の行為は、なんで?
あたまのなかがぐるぐるして、
唇の感触が
強く残る
三之助の言葉が
頭に響く
そのあとどうやって学園に戻ったのかいまいち覚えていない。
その日からはとことんまで次屋三之助という人物を避けるようになった。
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