ドリーム小説
宵闇 三之助9
三之助三之助三之助!
叫ぶのは心の奥で
三之助三之助三之助!!
呼ぶのはあの子の名前
お願いだから傷つかないで
お願いだから無事でいて
はやくはやく
なんでこんなにも足は遅いのか
なんでこんなにも呼吸が乱れるのか
あんな勝手なことを意味不明なことをしたやつなのに
でも実はいやではなくて
見つけた三之助の驚いた表情。
素直に嬉しかったあの子が見つかったことが。
楽しいと思ったあの子と一緒にいることが
『傍に入れれば嬉しくてでもドキドキしていたたまれなくて』
あの子のことを思う時間はなんだか幸せで
『傍にいなければ気分が沈んででも思い出すだけで幸せに慣れて』
恥ずかしくて自分から離れていたくせに、話をしている喜八郎や滝が羨ましかった。
『傍に入るのは恥ずかしいくせに誰かといるといやだなあと思ったり』
あんなにそばにいたのに気がつけなくてごめん
『傍にいるのに気づけないこととか知って悔しくなったり』
それらの想いの意味がようやっとわかった
喜八郎に抱きしめられるのと三之助に抱きしめらた時の違い。
安心するのとドキドキすることとの違い
それらの違いの意味がようやっとわかった
ごめん三之助
今から伝えに行くから
お願い待ってて
さわり風が吹いた
それは方向を示すように
「金吾、しろ!」
「「先輩っ!」」
その先に見つけた二人は泣きそうな顔で必死で走ってきた方向を指した。
「三之助先輩がっ!」
それを聞き終わる前に走って走って、そうして見つけたその姿
「っ、三之助っ!」
驚いて振り向いたその表情がとてもとてもいとおしいと思った
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