ドリーム小説







宵闇 弐ノ弐拾












はじけ飛ぶ金属音

響き渡る声にならぬ声



「うふふ、もおっと強いかなあと思ったけど、そう言うわけでもないんだねえ?」

の体には多くの赤が流れていて。

対する男の体には怪我ひとつ見られない。

の息は上がっているのに男の呼吸は平常。

男の手には次から次へと刃が現れるのにの手に残るのはくない一つ。


どう見ても戦況は不利だ。


「おっと」

が男に一気に詰め寄り腹へと足をいれる。
それは軽々とかわされて。

だが、それでも負けるわけにはいかないのだ。

ここで負けてしまえばが負けてしまえば後輩たちは、きっと___

「ね、え。お兄さん・・・」

一度距離を大きくとって呼吸を落ち着かせるために相手に声をかける。

「ん?なんだい?」

相手にとってそれは新鮮に映ったのか興味深そうに動きを止めた。

男は手の中で刃をくるりくるりまわしながらの話に耳を傾ける。

「知らない人に殺されるくらいなら、知っている人に殺されたいんです。」

にぱり無邪気な笑みを目指して笑いを顔に浮かべる。

それにきょとりと男は不思議そうに首を傾けた。

「なので、よろしければあなたのお名前をお教えくださいな。」

そう告げればようやっと納得がいったようで男は気分がよさそうに口を開いた。

「不思議な子だねえ。殺される相手の名前を知りたいとか。忍びの世界じゃそんなことご法度だよ?・・・でも、いいね、おもしろい、教えてあげるよ。」

ニコニコと何が楽しいのか上機嫌の男はゆっくりとその名前を口にした。

「僕の名前はね、紅、だよ。僕の髪が赤いからってことからつけられたんだ。くれない。覚えた?」

そう言うと男、紅はにたり今までで一番楽しそうに笑った。


「じゃあ、もういいよね?死んでくれる?」


が一度離れた距離はあっけなくなくなって、その速さに、その赤に恐怖を感じるよりも先に右腕に大きな熱が生まれた。


「っうあああああああぁぁ!!!」

喉からほとばしる絶叫に、その男がさらに楽しそうに顔をゆがめる。

「いいよねえ、そう言う声。・・・特に女の子の声はね。」

その口調は何もかもお見通しだと言ってるようで。

「本当は今すぐ殺してあげようかと思ったけど、もう少し楽しませてよ。」

痛みでもうろうとするを見ながら紅はそう言った。

「っあ!!」

の右腕に、右の掌に再び鋭い熱が宿る。

そちらをみれば右の掌が刃によって地面に縫いとめられていた。

痛い痛い痛い


その感情に支配されそうになる前に、響いた男の声。


「それじゃあ」

その言葉がまるで死刑宣告のようで。

後輩たちのところに行かれるまでに止めなければいけないというのに。

縫いとめられたままでは動くことができなくて。

さらにはその痛みのよって意識がもうろうとしていて。

「まあた、ね。」

それと同時に消え去った気配。


後に残ったのは焼けるような手の痛みと自分の不甲斐なさに対する怒りだった。










※※※
しまった。短く切りすぎた気がする。
紅さんの説明を零にupです。









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