ドリーム小説








宵闇 弐ノ弐拾弐
















「三之助、硝煙蔵に行って。が危ない。」




目の前の敵が少しづつ減ってきた。

先ほどいきなり士気があがったがそれも今は大分落ち着いてきていたのがわかって。


そんな時に突然聞こえた綾部先輩の声に、体が考えるまでもなく動きだしていた。



、先輩、」


言葉でその名をつぶやけばふわり脳裏に笑みが浮かぶ。

優しく強く頼もしく。

それでいて誰よりも不安定なあの人。

走る走る。

正門から硝煙蔵までの距離をここまで遠くに感じたことはない。


早く早く


あの人のところへ



 はやく はやく





そう思った瞬間だった






硝煙蔵から爆発音が響いたのは。


































どおん


そんな形容しがたい音が硝煙蔵から響いた。


それに体勢を崩したのはもちろんこちらだった。


「硝煙蔵がっ、」

誰か後輩が漏らした声が辺りに蔓延する。

それに微かに喜八郎先輩が目をしかめたのが見て取れて。


そしてそれをきっかけのように敵が勢いを増した。



だめだだめだ


あいつらをここにいれちゃだめだ


ここは大切な場所


先輩たちが戻ってくるまで守らなきゃ


そうは思うのに、体制が崩れた今、立て直すことも容易ではなくて。



後輩、特に今まで頑張ってくれていた一年生が崩れる。

それを助けるために僕が動けばそこを埋めるために喜八郎先輩が無理をして。

先ほど抜けた三之助の場所は二年の池田と左門、作兵衛が必死で押さえていて。


「っ、」

「浦風先輩!」

一年を庇った腕から赤が溢れる。

それに一年の悲痛な声が響いて。

目の前の敵がそれににやり笑った。



ああ、駄目だ、


そう思い立て直しきれない体制に、目の前の刃を後輩たちに至らぬようにそのまま受け止めようと水色を庇えば、


パアン


そんな音が辺りに響いて。

目の前の敵の体が崩れ落ちる。

それは後方の木からで。

「藤内先輩、もう少しです、頑張りましょ!!」

その声は委員会の後輩のもの。

「虎若、兵太夫、」

水色の後輩がつぶやいたそれに、ああ、あのは組か、と納得してしまった。

「みんな、もう少しだよ。もう少しだけ耐えて。硝煙蔵は三之助が向かってるから大丈夫だから。」

守るべき後輩に励まされてしまったことに、なんだか余裕が生まれて、そう告げた。

それに後ろにいた後輩たちがしっかりと返事を返したのを聞いて一つうなづいた。









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