ドリーム小説
宵闇 弐ノ弐拾漆
先に三之助を庵に向かわせて、そのあとを必死に追う。
体中からいやな汗が染みでる
恐怖が体中に沁み渡る
そしてたどり着いたそこでは目の前で倒れ行く、大切な後輩の姿が―――
「三之助えええええええ!!!!!」
無意識のように体が動いた。
笑ったような紅の顔に
何かが、
き
れ
た
「っな!?」
目の前の黄緑に振り下ろした刃。
倒れ行くそれに、とどめとばかり再び構えた刃
それは一瞬で現れた何かによって折られ捨てられた。
体中を軽くでも多く切りつけられて。
赤が溢れる。
先ほどよりも素早い動き
右手の怪我などないかのように
その顔に浮かぶのは無表情
何も感じない瞳はただただ深く闇色で
その忍びの卵は
その少女はまるで卵を脱ぎ捨てたかのように
忍び
だった
「三之助に、俺の大事なこたちに手を出すからだよ」
ふわりその笑みは今まで見た谷よりも美しいもののように思えた。
ひらりひらり
音もなく
前にいたと思えば次は後ろ
右かと思えば左
その少女は
今まであったなによりも忍びであった
先ほどまでとは全く違うそれに混乱の後生まれたのは
悦び
この少女に手を出せることに、死合えることに、とてつもない快楽が生まれた。
素早くなった動きにつられてこちらも本気を出す。
それでも少女はついてきて。
この感動はあのとき戦場であったあの男以来だ。
上がる口端を実感しながら、次の手を瞬時に考えうってくる彼女に
心の底からの本能のままくないを構えた。
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