ドリーム小説
宵闇 弐ノ弐拾捌
キイン
それは刃が地面に突き刺さる音
まるですべてがスローモーション。
相手の動きのなんて遅いことか。
体が軽い
先ほどまでの痛みなどなく
向かってくるくないを手のひらでいなす
刀など、簡単によけられる
体術など、真正面から受ければこちらが負ける
ならば、出させなければいい
そんなのは簡単だ、だって今の俺はこいつよりもずっと早いのだから
先ほどまで傷一つも付いていなかった紅の体にいくつもの鮮血が走る
まるで彼の髪色のような紅いそれに、心の底から悦びにも似たなにかが溢れそうになる。
「三之助に、俺の大事なこたちに手を出すからだよ」
変わりにあふれた言葉は本心なのだけれどどこか遠いところで言ったように聞こえて
くるりくるり
軽い体はどんどんどんどん相手に手を出せる
前と見せかけて後ろ
右と見せかけて左
こちらこちら、
おにさんこちら
まるで鬼ごっこをしているみたいに。
全ての映像が鮮明に頭の中に記録としてはいってくる
それに考えるまでもなく、体は簡単に動いて
不意に早くなった紅の動き。
でも追えないものではなくて。
出された刃、投げられるくない
それを避けるのはとても簡単で
紅の顔に浮かぶ笑みに、こちらも同じような笑みを浮かべた。
さあ、紅いお人よ
もっともっと遊びましょう?
あの子が受けた痛みを
あの人が感じた苦しみを
この地を怪我した罰を
その身で償っていただきましょうか
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