ドリーム小説
宵闇 弐ノ弐拾玖
体中が悲鳴をあげてる
もう駄目だって、もう無理だって
それでも、僕は先輩だから。
僕が今着ているのはもう水色の制服じゃ、ないから
守らなきゃ
守らなきゃ
この後ろの大切な可愛い後輩たちを
守らなきゃ
僕の力で
そうは思うのに。
横にいる久作も腕に傷を負っていて。
その隣には久作を守るように図書のきり丸と怪士丸。
「時友先輩っ!」
「時友!!」
三人を背にかばって、降ってくる敵の刃をただ見ていた。
(せん、ぱい、)
心の中で叫んだ名前は誰のものだったのか
「ぐあっ!」
目の前のそれはふらり揺れて崩れ落ちて。
そして目の前に現れたのは___
「頑張ったな!四郎兵衛!」
「しろ!大丈夫か!?」
声と同時に温かい何かに包まれて。
「七松、先輩・・・?滝夜叉丸先輩?」
さらりゆれる薄茶色の髪
ふわり見える太陽の笑み
ずっとよんでたふたり
もう駄目だと思ってたのに
きて、くれた。
あったかい体にそっと自分の体を預ければ、周りから聞こえてくる声。
それはずっとずっとずっと、今日何よりも求めていた先輩たちのもの。
助かったんだ
そう思うと同時に、体中が痛くて痛くてたまらなくなって
「もう少し、頑張れるか?」
でも、まだ終わってない
まだ終わりじゃない
滲む涙を袖で拭いて、先輩を見上げる。
「大丈夫、です!」
大丈夫だって先輩たちが来てくれたから
そんな小さな体で、お前は皆を守ってくれたんだな。
学園の門、たちふさがった敵など一瞬で蹴散らし、目に移したその場所。
そこには振り下ろされる刃と対峙する青色。
白いふわふわとした髪は微かに汚れ、その装束も大分くたびれていて。
その背中には二つの水色と一つの青。
彼らを守るために動かないのであろう
この子はなんて優しく強い
目に浮かぶありありとした恐怖。
だが、それ以上に瞳には強い意志が宿っていて。
ああ、私は本当にこの子たちのことを随分と見くびっていたみたいだ。
滝と一緒に姿を見せればその目がふるり揺れた。
でも声をかければすぐさまそれをぬぐい再び強い眼を見せる。
「大丈夫、です!」
頼もしいその声に、大好きな、大切な後輩の成長を喜ばないでいることなどできなかった。
※※※
先輩参上
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