ドリーム小説





宵闇 弐ノ参拾参











「ひどい」



皆の傷は多かったがそこまで深いものではなくて。

でも、ここにいる人数は明らかにおかしくて。

そして保健委員がこの場所に誰一人として存在しないことに、



何処に重傷者はいる?



目の前の能勢の腕に包帯を巻きながら、頭を回転させる。


硝煙蔵は、ない。

大きな煙が上がっていたから。

忍たま長屋?

それもない

あの場所を医務室として使うには遠すぎる。

同じ理由で医務室も却下だ。

食堂は場所の問題で難しい。



ならばおそらく___











「先輩!庵に重傷者が、それとっ、だれか先輩を止めてくださいっ!!」








ようやっとみた後輩の姿に、その言葉に、本能ともいえるべき何かが動いた。






たどり着いたそこ

傷つき倒れる数々の後輩たちに、体中の熱が冷めていくのを感じた。



とくに小松田さんとタカ丸さん、三之助の傷がひどくて。




「数馬、状況説明を。左近伏木蔵乱太郎医務室から薬と布をありったけ、くのいちの子たちは、湯を沸かして。」


「伊作先輩、」

僕が来た声とに微かな安堵を見せた後輩たちだが僕の指示にすぐさま行動を開始する。

「小松田さんは日が暮れる前に、門の前で切られました。出血は止まり今は容体が落ち着いています。タカ丸さんは___」

それらの話を聞きながら、頭の中で一番最良を導き出す。

庵の外で乱れる気配に意識を奪われないようにしながら、手順を後輩たちに指示するため顔を上げる。

「今から言うとおりに___」








 
     死なせはしない絶対に





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