ドリーム小説
宵闇 弐ノ参拾漆
「おやあまあ。」
そいつは私の後輩の口癖とよく似た言葉をその口から吐いた。
文次郎と共に田村を救出して向かった学園。
そこでは先に行っていた小平太たちが無事に後輩たちの元にたどり着いていて、安堵した。
まだ敵と交戦中の中同じように敵を倒しながら藤内の元へ。
「っ、先輩」
ふわり、一度頭をなでて笑えば、きりり引き締まる表情。
「兵太夫があの木の上に、それから喜八郎先輩たちは庵にいます。はやく、そちらに向かってください。ここは、僕たちに任せてください!」
なんとも頼もしい言葉にもう一度頭をなでて、言われたほうに進む。
「仙蔵先輩!」
藤内の言った木によく知った気配。
みあげればそこには兵太夫が泣きそうに顔をゆがめて顔を出していて。
「良く頑張ったな、兵太夫。お前は作法委員の誇りだ。」
「せんぱあい・・・」
普段ではありえないほど泣き虫な後輩。
「もう少しで、全てが終わるから。」
そう言えば涙を拭きこくりと頷く。
「先輩、庵に早く行ってください。」
それに頷き、後ろを振り向けば同じように頷く文次郎。
「行くぞ」
鋭い言葉と共に庵に向かって走り出した。
そこで見たのは二人の後輩が対峙する紅の髪を持つ男だった。
久方ぶりに、怖いという感情を抱いた。
この男が恐怖そのものであるかのように。
後輩では荷が重すぎる。
私たちで何とかしなければ。
文次郎が横で構えるのが見えた。
「まあた選手交代?まったく、せわしない子たちだねえ」
そう言いながらもにやにやとした笑みは消えることなく。
ぞくりぞくり
背中を走る恐怖
だがそれと同時にこんなものと戦えるという喜びもあって。
ふるり震える手に力を込める。
「こんなところでいったい何をしているのですか、紅」
だが、それを遮ったのは思いもかけぬ人物だった。
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