ドリーム小説






宵闇 弐ノ参拾捌
















虫の知らせ

いやな予感




とんでもなくひどい焦りにかられたどり着いたそこでは


忍術学園が見知らぬ軍勢に襲撃されていたところであった。



「なっ!」

横で利吉の驚く声。

それを聞き流しながら、おそらく今到着したのであろうあらたな軍勢、否学園の上級生の姿に目をとめた、


硝煙蔵のあたりから激しく上がる炎が辺りを明るく照らし出す。

いやな予感はとどまることなくここにあって。



それは、水色の少年が叫んだ言葉によって現実のものとなった。



 我が愛し 養い子



「っ、彰義!?」

利吉の声が聞こえ終わる前に、私はそこへ向かった。

ようやっとみえたその場所に、愛し子の姿はなく

かわりにいたのは対峙する四人の上級生。


そして、紅の髪もつ男。



「こんなところでいったい何をしているのですか、紅」



その姿を見た瞬間、この場所にいるその紅を見た瞬間


怒りにも似た感情が生まれた。




この場所はお前のような輩が穢してもいい場所ではないのだ。





幾度となく戦場であいまみえたそいつは私を見てとてもとても嬉しそうに笑った。













名を呼ばれ、振り向けばそこには戦場で幾度も幾度もであった男。

一度も勝負の付いたことのない好敵手。

常に逢いたくて会いたくて仕方ない男。

「おやあ、どおして彰義君がここにいるのかなあ?」

先ほどまで見ていた忍の卵などもうどうでもいい。


ただ、この男と殺し合いがしたい。


「どおして、ここに?彰義君」


だんまりを決め込んだ男の眼は今までに見たことがないほど殺気だっていて。

彼をそうさせる原因がわからないままなんてなんかいらりとするので、彼が以前大嫌いだと形容した笑みで問うてやる。


「この場所は君が穢していい場所ではない。」

「早々に立ち去れ。」

彰義君に続いて、利吉君までもがそう言うものだから、余計に気になって気になって。

ああ、でも、そういえば

「そういえば、彰義君。いつもつれてたあの子はいないの?」


それに微かに顔がゆがんだ。

彰義君を最後に見たのは4年前。

その時彼が連れていた少女は今はいない。


それはたぶんきっと、おそらく




「なあんだ。ここにいるんだ、ね?」



言い終わると同時に飛んでくるくないに棒手裏剣、多くの忍具。

それを避けて避けて、さあ、戦おうよ、彰義君。


学園の外に向かって走り出した彰義君。

この場所から離れるのが先みたいだけど。

いいよ、いまはそれに乗ってあげよう。



だって、ボンクラの殿の命よりも彰義君と戦うことのほうがず〜っと大事だから、ね。





















※※※
紅登場終了。
彰義からすると紅はうっとうしい。
紅からすると彰義は強いし戦いたい相手。
襲撃編もう少しで終了。
ちなみに下級生だけで何とかもった理由は敵が少数精鋭ではなく数を重視したから、とかなんとか。











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