ドリーム小説







宵闇 弐ノ参拾玖
























それからのことは一瞬だったように思う。






潮江先輩と立花先輩。

それから田村先輩が学園に戻って来てその少し後に先生方、そして八左衛門先輩が帰ってきて。



あの太陽にも似た笑みがこれほどまでに安心できるものだとは思わなかった。


その後ろから溢れだす微かな太陽の光が、眩しくて眩しくて仕方がなかったんだ。




硝煙蔵の火も消し止められて、敵も撤退して、(いくらかはとらえたらしいけれども詳しくは教えてもらえなかった。)仕掛けた罠もあらかた解除した。


でも、全てが元通りなんて都合よく行くはずもなく。

皆が皆傷をおっていた。

なかでもひどかったのは小松田さんにタカ丸さん、先輩に三之助。

三之助が一番危ない状況だったらしくて、少しでも処置が遅れていたらどうなっていたかわからないって。


それを聞いた時背筋がぞっとした。

三之助は、大事な友人で、それがいなくなるかもしれないって思った時、どうしようって思った。

お願いだからいなくならないでって、作兵衛とか左門とか皆と一緒に泣きながら願った。

(じゅんこはいつもとは違って一時も僕から離れることはなかった。)

三之助は一週間たった今でもあまり体を動かすことができないうえに回復のためか多くの時間を眠って過ごしている。

でも、生きている

今はそれだけでいいと思えた。

先輩は命に別状はなかったみたいだけれど、なぜかまだ眠り続けているらしい。

傷の数は一番多かったらしくて、しばらくは筆も持つことが難しいかもしれないということだった。


先輩があの恐ろしい気配の持ち主と相対したとき僕はそこにいなかったけど、数馬や他のみんなの話を聞けばどんな様子だったのかがわかって。

怖かった

あの数馬がほろりと漏らしたそれにまさかと思った

あの人が後輩に、僕たちにそんな思いを持たせるはずがないのに。

いつでもあの人は僕たちを傷つけないように、傷つかないように、してくれていたのに


怖かったとその言葉は、他の後輩たちからも聞いて。


それが真実だと思った時、忍びになるのはなんて怖いことなんだろうかと思ってしまった。



いつかは自分もそうなるのだろうと思いながら。








あの日から約一週間。



この場所は大きな傷跡を残したまま、いびつな形でありながらも元の姿を取り戻そうとしていた。


















※※※
孫兵視点








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