ドリーム小説
宵闇 弐の肆
落日。
その日はいつもと少しだけ違っていた。
例えば6年と5年が学園の卒業模擬試験のため不在だとか。
例えば監督のため先生方もほとんどいないとか。
例えば、4年生の二人が学園長からの命で、書状を届けるために昼過ぎに学園を出たこととか。
例えば、珍しく委員会が下級生だけで集ったこととか。
そう、一つ一つであればどうってことないはずのそれらが、些細なことが、重なりすぎた日だった。
「じゃあ、いってくる。」
「全く、なぜ私が滝夜叉丸なんかと一緒に・・・」
「学園長の前で喧嘩なんかしてるからだろ。」
「気をつけてね〜。」
「お土産楽しみにしてるね。」
ため息をつきながらもしっかりと仕事をこなすであろう彼ら。
「「いってきます」」
その言葉にしっかりと返事を返した。
「「「いってらっしゃい」」」
それは、同級生の滝と三木が書状を届けに出発するときにたちが投げかけた言葉だった。
先輩たちが学園から遠ざかって早二日目。
明日の朝か昼くらいに彼らは帰ってくるはずだ。
とくに何の音沙汰もなく、いつも道理の日常をたちは過ごしていた。
そうして今日は休日。
皆が思い思いに過ごしていたなかで滝夜叉丸と三木エ門は隣町の寺へと向かって学園を出発した。
(学園長の前で喧嘩をしていた二人は暇なんだったらお使いに行ってきてくれと放り出されたのだ。)
「・・・暇、だ。」
ここは、の部屋の前の縁側。
タカ丸が持ってきてくれたお茶を喜八郎含めた三人ですすりながら和やかな時をすごしていた。
天気は快晴・・・・とはいえないような曇り空。
それはまるで何かを予告するようで。
「穏やかな日だよねえ。」
「先輩たち、どうしてるかな。」
タカ丸の言葉にふと思ったことをつぶやく。
「明日には帰ってくるでしょ。」
喜八郎がすげなくそんなことを言い、それよりも、と前置きをして話し出した。
「滝と三木がお土産を買ってきてくれるかどうかが気になる」
緩やかな時が過ぎるその場所。
時間はまるで無限にあるかのように感じられて。
そんな穏やかな日は大きなこともなく終わるはずだった。
否
終わるとだれもが思っていたのだった。
そう 誰もが___
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