ドリーム小説



記憶を辿って106  僕の好きなもの
















ふわふわ可愛い髪飾り

きらきら綺麗なアクセサリー

さらさら流れる髪

そして

可愛くなりたいと頑張る女の子





それが僕の好きなもの。


ポニーテールにツインテール

ストレートにボブカット


くるくる、くるくる


僕の手で女の子が変わっていくのが嬉しくて、たのしくて。





可愛い子たちを手伝いたい。

始めのきっかけはおぼろげながらそんな記憶だった気がする。

美容師である父を小さなころから見ていれば、その手で、鋏と櫛で、変身する女の子。

きらきらきらきら

ぼくも父のようになれれば。


思い立ってからははやかった。

中学卒業後二年間父の下で修行したり、留学したりして。

そして二年遅れでぼくは高校生になった。





そんなぼくの唯一の悩みは夢。

ずっとずっと小さなころから見てる夢。


真っ暗な世界。

身動きができないそんな世界で、唯僕だけが存在している。

そんな夢。

誰もいなくて、なにもない。

小さなころから繰り返し繰り返し見る夢がずっと僕は怖かった。



その夢は、まだ繰り返す。

まるで何かを僕に訴えかけるかのように。











「斎藤さん。」

「あ、三木くん〜」

未だに慣れない校内で声をかけてくれたのは違うクラスの三木エ門君。

整った顔立ちが視線を集める彼はしかし見た目と違いなかなかに面倒見がいい。

年上で同級生という何とも接しずらいであろう僕にこんな風に声をかけてくれるのだから。

人付き合いは得意だけれど、年齢のせいで遠巻きに見られたりもするから、今はまだ友達は多くなくて。

そんな僕に話しかけてくれた稀有な同級生。

そんな稀有な存在は今三木エ門君を含めて三人いる。

「何かわからないことでもあるのでしたらまたお話聞きますよ??」







今の僕にとってその子たちはとても大事で大切な存在だった。

























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