ドリーム小説
記憶を辿って112 悪夢はもうおしまい
もうきっと、悪い夢を見ることはない。
そう感じたんだ。
あの時、あの場所で、懐かしいあの仲間たちと
再び笑いあえた瞬間、ふわり、まるで雪が降り積もるみたいに記憶が蓄積されて。
ぼくが背負う業、
ぼくが持つ罪
ぼくが奪った様々なもの。
全部全部、思い出しはしたけれど、
それよりもなによりも、ただ再び会えたことだけが純粋に嬉しかったんだ。
そして同時に知った。
あの夢の、意味を。
暗い真っ暗な世界はぼくの記憶。
あの頃の深い深い記憶。
全く動けなかったのは、ぼく自身への束縛。
知らないままでいるならば、動けないままでいればいい。
そしてぼくはずっとずっとまっていた。
あの世界に色をつけてくれる、あの世界に光をくれる存在を。
そしてその束縛を断ち切ってくれたのは紛れもない仲間たちで。
年下なのに、とても頼りがいのある子たち。
ぼくよりも小さな体で、ぼくを守ってくれていた大事な仲間。
あのときみたいに喧嘩する二人。
あのときみたいにぼんやりとそれを眺める喜八郎。
どうしようもないくらいに嬉しくて、泣きたくなった。
back/
next
戻る