ドリーム小説



記憶を辿って116  きえないあかいろ










「二郭君って、赤い色が好きなの?いつも赤い色を身につけているのね。」



クラスメイトのその言葉に曖昧に笑って返した。





赤い色。

物ごころついた時には、もう、僕の手は赤く染まっていた。

他の人には見えないそれは、もちろん親にも見えなくて。

僕だけに分かる謎の色。

赤く、赤く、染まる。

綺麗に染められたみたいに見えるその赤色。



僕はいったいこの世界に生まれる前にどんな罪を犯したのかな。



ふとした時に見えるその赤色。

その赤に引き込まれそうになるたびに怖くなって、恐ろしくなって。


ただ、とあるごとに目に映る赤に引き込まれないようにと身につけるものを赤くしただけ。

別に赤が好きなわけじゃない。

言ってしまえば赤い色は嫌い。

だって、怖いんだ。

この赤色は僕に知らない何かを思い出させようとする。

だって怖いんだ。

この赤色は僕を違うものへと変えていく。



ねえ、誰か、ぼくを





たすけて




























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