ドリーム小説












記憶を辿って13  足りない何か










足りない

まるで喉が渇く時のような 衝動

まるで何かを追いかけている時のような 焦燥


なあ、なあ

この乾きを誰が鎮めてくれるのだ

この虚無感はどうやったら消えてくれるんだ


たりない

たりない

たりない


どこにある

どこにいる


俺という存在を確立させてくれるものは



さがしてさがしてさがして


でも、見つからなかったらどうすればいいんだ?





ちがう





さがしてさがしてさがして


それでも見つからなければまたさがせばいい


さがしてさがしてさがして、



見つけてやる必ず



まってろ

















ちいさい体だったから、はじめは一年だと思った。

でもネクタイの色が一緒だったから、同じ学年だと知れた。


始めてみたやつ。

本人も転校生だと言っていたから、俺と面識はない

はずなのに


どことなく、見たことがあるようなないような。

でも、不確かすぎて。


だけど、その手を握った感覚が、何かを呼び覚ました。


ふわり


まるで水の中にいるかのような。

明確ではない何かが俺の頭に浮かんだ。

それは形になることなく、俺の記憶から流れ出て行ったけれど。



でも、お前と一緒なら何かがわかる気がした。


何かが変わる気がした。






俺の前に現れたあんたが、世界を変えた。

こいつと一緒なら見つけられると思った。









「富松君。」




ぶわりと浮かんだ記憶。





  こ  れ  は  何  だ  ? 




かけられることのなかった言の葉に


痛みが生まれた























back/ next
戻る