ドリーム小説


記憶を辿って138 最大級の感謝の表し方















「・・・あれ?先輩??」

「何でここにいるんですかぁ?」

目の前の二人を愛でていればひょこりと現れた二つの影。

おやおやまあまあとでも言うように顔を傾げてをみる。

「あ、れ?」

そしてその視線がの手元に移って、かすかに見開かれる喜三太の瞳。

ぴしりと一瞬固まったそれはすぐにふわりとしたものに早変わり。

「僕は山村っていうんだよぅ。・・・初めまして?」

笑って、初めましての挨拶。

知っているのか、知らないのか、見極めようとするかのように。


「喜三太、でしょ?・・・知ってる、よ。」


でもそれをあっさりと、平太は小さく笑って裏切って。

そうすればふにゃ、と表情を緩める喜三太

しんべェは楽しそうに笑って。


「じゃあ、伏木蔵も、だね」


手を伸ばして、手をつかんで。

その存在を確かめるみたいに握りしめる。

しんべエのふくよかな手が、優しく伏木蔵を包んで。


「久しぶりだねえ。」


まるで小学校の同級生に会ったかのように緩い再開はふにゃりとした笑みに溶かされて。


その小さな邂逅を眺めても笑う。


「先輩先輩。」


そっと横から伸ばされる手。

みれば伏木蔵と平太が両側からの服を引っ張っていて。

「どうしたの?」

不思議に思って問えばくいくいと下に引っ張られて。

まだ背が伸び始めていない二人に目線を合わせるように少ししゃがむ。

と、


ぎゅう

と左の平太から。

ぐい

と右の伏木蔵から。


「あ。」

「いいなあ・・・」


喜三太としんべエの声を耳に感じたのは温かな感触。

頬に落とされたそれは、ゆるり、の肌に触れて、濡れる。

ちゅ、という軽いリップ音と共に離れて行ったそれに、はようやっと現状把握。


「・・・っ、なっ!?」


両側から引き寄せられて、そのせいで崩れた体勢。

そのままふわりと二人の手で支えられて、そのままの頬に落とされた唇。

それが離れてくれるまでには何が起こっているのか理解しきれなくて。

顔中が熱くなる。

口をぱくぱくと動かして、でも声は出なくて。

ゆるり、目線を向けた先、2人のろ組はそれはそれは楽しそうに表情を緩めていて。


「は組の、みんなの記憶を思い出させるきっかけをくださってありがとうございます。」


感謝の気持ちは嬉しいが、できたらここまで恥ずかしいことはやめてほしい。

ほてる頬を抑えながらは心の中で叫んだ。
















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