ドリーム小説
記憶を辿って156 今はまだ生温かく見守ろう
ふわふわ
暖かい記憶。
確かにそれらの仲には、苦しいものもつらいものもたくさんあったけれど。
それでも僕にとってはそれは暖かな、懐かしい記憶で。
ふわふわり
まるで忘れた頃に断片的に思い出される数ある記憶。
ぱちりぱちり
断片的すぎるそれは、とぎれとぎれすぎて、すべてがつながることなどなかったけれど。
中学にあがったとき、初めて教室にはいって。
そこでみつけた、いくつかの見知った顔。
それは勝手に一方的に知ってるもの。
それでも、生きてきて初めて見つけた記憶と同じじ顔。
ぞくりとして、うれしくなって。
合った視線はすぐに逸らされた。
それでもその姿は記憶と同じものであると、確証していた。
「んん〜?」
何を食べようかなあ。
いつもは持ってくるお弁当。
今日は寝坊してしまって持ってくることができなかったから、お昼は食堂。
ということで券売機の前で何を買うか迷っているのだけれど、普段こないからよけいに決まりにくい。
ようやっと決めて券を買って、注文して。
そうして手に持ったごはんをもったトレー。
さてさて席を探そうとあたりをみれど、さすが昼時。
ほとんどあいていない。
どうしようかとトレーを持ったままことり、首を傾げる。
と、
ぱちり
一つ出会う視線。
きょとりとしたその瞳。
どこかでみたことのあるような、かすかによみがえる記憶。
誰だっただろう。
思わず悩むようにその瞳を見返していれば、ほわら、とその瞳が柔らかく笑む。
「一平。こっちおいでよ。」
ふわり、小さな声のはずだったのに、それはいとも簡単に僕の耳に届いて。
自分で認識するよりもずっと早く、足がそちらへと向かっていて。
かたり、小さな音を立ててトレーを机において、改めて僕を呼んだ人物をみる。
「・・・三次郎・・・・?虎若・・・・?」
ふわり浮かんだ名前を呼べば、にっこりと返される笑顔。
「うん。そうだよ、一平。」
ぶわり沸き上がった涙を止めることはできなかった。
「・・・ということがあったよねえ。」
「ね!」
「まだい組は思い出してないのか?」
「うん、・・・そう思ってたんだけどね?なんだかちょっと最近みんな変わってきていて。」
「変わって?」
「うん。なんだかね、よく僕をみてくるの。」
「一平を?」
「しかも僕だけじゃなくて、みんながみんな、お互いをね。」
「・・・みてるだけ?」
「い組らしいよね!」
※※※
最後はは組と一平の会話。
い組で一番早かった。
生温かく皆がどうやって思い出したよ、と暴露するのか楽しみに待ってる。
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