ドリーム小説





記憶を辿って17  お前らと一緒に 













なんだったっけなあ。


なんか見たことがある気がするんだ。


どっかであったことがある気がするんだ。


でも、はっきりとは思いだせなくて。


こう、見えてるけど何か雲みたいなあやふやなもので隠されてて、真相に近づけない。

うん、そんな感じだ!



クラスメイトなのに一度も話したことがない二人の人物。

片方は一匹狼みたいにいつも一人で窓の外を眺めてるやつ。

もう一人は学級委員長にも選ばれて、成績も優秀、クラスのみんなから頼りにされてるやつ。


でも残念ながら一度も話すのに成功したことがなくて。


手を伸ばせばつかめる距離にいるのに、手を伸ばすことがとてつもなく怖い。


そんな状態。



だから皆本金吾が来たときに言わなきゃって思ったんだ。




「おい、団蔵!それ俺のパン!」

「細かいこと言うなって!」


あの日以来一緒に昼を取るようになって、出会って数日というのにもかかわらずなぜか幼き時からの親友みたいに打ち解けている。

まったくそれに違和感を抱かない自分もいるのだけれど。


「ばっか!それ俺の唯一の昼飯なんだよ!」

「へ、まじで?!ええ、となんていうかごめん!」

「お前の昼飯よこせ。」

「ちょ、それは殺生な!」


何をするにしても自然なんだ。

今までのなかでこんなに自然体でいられたのは初めてで。

名を呼ばれるのも 冗談を言い合うのも 何かで競い合うのも

違和感なくて。


「はい、買ってきたぞ飲み物。・・・て何やってんだ?」

「金吾〜きり丸が俺の昼飯取るんだ!」

「・・・絶対お前が悪いだろう。」

「ひどい!」



たぶん、っていうか十中八九、俺はこいつらを知ってる。

きり丸と金吾だけじゃなく、他にもいる。


「はあ、ほら、俺の分けてやるよ。」

「!金吾愛してる!」

「気持ち悪い。」




誰かはわかんないけど、それだけはわかる。


そいつらを見つけるために俺はきり丸と金吾と共にいる。


時折、白昼夢みたいに見える景色。



俺はそれを追い求めていて。




こいつらと、それからまだ見ない誰かとまたあの時を過ごすために




探し出してやる












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