ドリーム小説




記憶を辿って 2 世界はあまりに残酷で


















「う、そ」

それは偶然。

転校してきたばかりのため一番後ろの窓際に配置された席。

それは授業中のの意識を遠くへと運ぶ。

微かな眠気と戦っていた数学の授業中。

ふと見た窓の外。



ふわり


記憶の中の黄緑にかぶった姿。

あっちへうろうろうろ、

こっちへうろうろ。

記憶のままにさまよう姿に、ぶわりと何かが溢れだした。



幼きころから消えることない記憶の一部


それが今、形を伴って姿を現した。




偽物じゃなかったこの記憶。

それが嬉しくて嬉しくて。


でも


それは


大きな違和感をもたらして



その違和感は




「どう、して」


大きな衝撃となって訪れた。




どうして?


迷子を捜しに来たのは見たこともないもの。

その進行方向、彼の保護者と称された彼が歩いていたというのに。

なんのやり取りもなく、



かれらは、


ただ


すれ違った。



ぐらり




信じていた何かが覆されるように

源が壊されるように

目の前が真っ暗になった。





どうして彼らは一緒にいないの?

私はそれを見るのが大好きだったのに。

どうして?

どうしてどうしてどうして?


あんなの見たくなかった

どうしてどう、して?


繰り返される問

見つからぬ答え





ぐわりぐわり世界中をかき回すかのように




その記憶は強く痛みを生み出して。






記憶の中からそのまま抜け出してきたかのような彼らは


あの時と同じ色の髪を持ち


あの時と同じ声をあげて



あの時と違う人と共にいた




幼きころから持っているこの記憶は決していいものではなかったけれど、いまとなっては私の一部で。

それが根底から覆されるようなそれは自分の生そのものを否定されているようで。


ねえ、ねえ、誰か教えて、



私の記憶は間違いだった、


そういうの?



それに答えてくれる人はいない
















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