ドリーム小説
記憶を辿って22 私の日常
じわりじわり 毒が広がる。
「なんかようかよ、七松。」
「潮江!バレーしようバレー!」
呆れた表情はよく見知ったもの。
「一人でやってろ馬鹿」
返されるものは知っているようで知らないもの
「お前また用具壊しただろう!!」
「あはは、ごめん、食満!」
その言葉は何回も聞いたもの
「もうここに来んな!」
こもる想いは何もない
「まったく、七松は怪我しない日なんてないんだね。」
「いてて、善法寺、もっと優しく・・・」
優しい手は、温もりは、知っていたもの
「馬鹿につける薬はないよ。」
今はもう別物
「いっけいっけどんどーん!」
「・・・うるさい七松」
あの頃と同じような話し方
「ようがないなら来るな」
険を含んだ声はこんなにも冷え切ったもの
みんなは以前と同じ笑みで声で姿で、毒を吐く
自分でもばかだ馬鹿だとは思うけど、それでも、会いに行かずにはいられない。
もしかしたら記憶が戻っているのかもしれないって、本当に微かな期待を持って、そうして毎日どん底に落とされる。
思い出さない方がいいのだとわかってはいる。
理解してはいる。
それでも、この記憶を一人で持ち続けるにはつらすぎて。
だから、嬉しかったんだ
やっと見つけた共有者。
否、共犯者
たとえ彼は他の誰とも接触を拒もうと、私が近づくことを許してくれるから。
「仙ちゃん」
「また来たのか小平太」
毎日毎日皆に会いに行って、そうして絶望して、仙ちゃんに縋りついてなく。
それが私の日常。
どうしようもないくらいくだらない日常
back/
next
戻る