ドリーム小説



記憶を辿って26  なんて愚かであさましい












どうしてこいつは、こんなにも馬鹿なのか


私に縋りつき声を殺して嘆く小平太を見てそう思わずにはいられない。


近づかなければ、そんな痛みとうに忘れてしまえるというのに。


それでもこいつは自らの傷口をえぐりに行く。


微かな希望のもとで。

それがいいことなのか悪いことなのか、そんなことはわからない。

はっきりと言ってしまえば、そんな期待のないことはやめてしまえといいたい。


だが、それを言うのも拒まれて。



だって、私の中にもまだ期待している何かがあるのだ




思い出さない方が彼らのためだとは思っても、それでも期待してしまうのだ。

昔のような関係を。


共に学び


共に生き


共に手を下し


共に死んだ



私たちの関係はそんなに簡単に忘れられるようなものだったのかと。


そんなにもあっけないものであったのかと。





理不尽にも似た怒りが生まれる




けれども、それを表に出すこともできないので


今はただ小平太のその素直さに救われているのだ。


小平太がいつか彼らの記憶を戻すのではないかとあっけないほど馬鹿らしい期待をしているのだ。


そんなことが起こることなどないと、わかってはいるのに。











ああなんて醜い自分
























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