ドリーム小説




記憶を辿って29  最愛の彼女












赤い赤い紅

あの時と変わらぬ姿の君を見た瞬間、僕は全てを思い出した。

愛しき彼女

僕の最愛の女


じゅんこじゅんこ


僕はもう君がいてくれればいい。

残念ながら、この場所では君と共に動きまわることはできないけれど。

それでも、僕は君がいてくれればいい。


大好き、じゅんこ


僕を見てくれない友人たちなんて、もういい。

残念ながら、皆の中に僕は存在しきれなかったみたいだから。

だから、いい。

むしろこの記憶を持たずにいられる君たちが少しばかり羨ましいものだ。

だって、良いものなんかじゃない。

時折見る夢は今もリアルで体に突き刺さる。

飛び起きて、そうして安全な世界に安堵して。

そして、怖くなる。

あの時のような関係が羨ましいと思うけれど

かといってあの時代が良かったとは言えないから

赤が紅が


夢が記憶が


混ざる混ざる



それはいいものなんかじゃない。



知らないままで いい




新たにクラスにやってきた転校生。

かつて同じ学園で学んでいた子。


記憶を有する者





だから、さ。





そんな無駄なことはやめてしまえよ、








いまだに過去に縋る君は滑稽だよ



















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