ドリーム小説





記憶を辿って33  あなたが望むものは
















かたり

微かな音と共に視界が暗くなる、

それに顔をあげれば端正な顔立ちと鋭い眼に出会った。


「い、がさき、くん・・・?」

ポツリその名をつぶやけばふるり微かに瞳は揺れて。

「どうし、」

「あきらめた方がいいと僕は思うよ」

どうしたの?

その言葉を言いきる前に遮られて放たれた言葉は理解が追いつかないもの。

なんのこと?

そう聞きたかったはずなのにその言葉は喉の奥に張り付いたように形にならず。

ただ彼のその瞳に浮かぶ哀愁とも名のつかない、いうなればあきらめの色はあまりにもまっすぐで。


そして 重たくて。


「本当はわかってるだろ?なのに、なんで?」


本題の見えないそれはの胸を鋭く突く。

否、本題なら見える。

だがそれ以上に信じられない思いの方が強くて。


「ど、して・・・」


ようやっと言葉となって姿を現した想いは空気に溶けゆく。

それに自重するような笑みを漏らして彼はもう一度言った。


「余計なこと、しないで。」


最後にぐっとまるで自分自身に言い聞かせるかのように彼はそう言って自分の席へと戻って行った。


じわりじわり


今さらになってようやっと先ほどの言葉の意味をかみ砕きだした私の思考はなんて遅いのだろうか。

彼が今、この時に望むのは


不変


なのだと理解した。







それでも私は























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