ドリーム小説
記憶を辿って 4 そうして世界が嫌いになる
なあ、なんで?
どうして俺はこんな記憶を持ってんの?
それは幾度となく自らに問いかけたもの。
小学生の時から見だした夢。
知らないままでいられたならば
忘れたままでいられたならば
それはどんなにも幸せなことだったろうか
こんなどうしようもない記憶など
夢であると、いままでは割りきれていた。
でも、中学になって、同級生の顔を見て、
そうして、知った。
あれらはすべて夢ではないと
あれらはすべて記憶であると
けれども、記憶の中の彼らは、誰一人として俺に、「はじめて」以外の接し方をしなくて。
それはつまり
覚えていないということ
思いだしていないということ
乱太郎も、しんべエも、庄左衛門たちも、みんなみいんな覚えていない。
なんで、こんな記憶を、俺に残したの?
怨む怨む。
そうして世界が嫌いになる。
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