ドリーム小説
記憶を辿って41 一緒に頑張ろう
俺はいったい何に迷っていたんだろう
今の関係が壊れるのが怖い?
そんなの、前の関係よりもずっとさみしいものなのに
俺を覚えていないことが悲しい?
そんなの動かなくちゃ何も変わらないのに
あの頃みたいに笑いあいたい?
なら、動きださなきゃ
目の前で目を真っ赤にしながら俺を見てくるその瞳。
こんなにも小さな体で、彼女は必死に記憶を辿っていて
俺が何もできないと諦めていた時に、この子は動き出していて。
ああ、なんて愚かだったんだ
その小さな体に腕をまわして抱きよせる。
その顔を俺の胸に引き寄せて。
くぐもって聞こえた声が
小さく震える体が
いとしいと感じた
二つ下のくのいちのたまご
大きな接触があったわけじゃない過去。
特に忍たまと仲が良かったわけじゃない
それでも
この子は望んだ
あの頃を。
過去を過去のままにしていない
「俺も、望むよ。」
俺も思い出してほしいんだ
俺も思い出させたいんだ
兵助は、きっとその真剣な瞳で聞いてくれる。
雷蔵は困ったみたいに迷うだろう
八ちゃんは案外すんなり聞き入れてくれるだろう
三郎は、逃げるだろうから捕まえなきゃ
「協力、するよ。」
ごめん、いままで一人で頑張らせて
ごめんね
だから、
今からは一緒に頑張らせて
その言葉に君は始めて笑みを見せてくれた。
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