ドリーム小説









記憶を辿って43  知ってる、わかってる。でも、苦しい










が落ち込んでいるように見えた。


始めて会った時はあんなにも光あふれて見えたのに

私がこぼした囁きに、目を見開いて驚いて。




はじめてみつけた、おんなじきおくをもったこ




嬉しくて嬉しくて


そして同時にかなしかった。




入学式。

ようやっと見つけた大事な友人は、名前を呼んだ私に怪訝そうな顔をした。

「なぜ私の名前を・・・?ああ、そうか。私の名前は、否私の存在は世間にとどろくほど大きかったとそう言うことか!」

見つけた君は、以前と同じ声で、言葉で、

「ふふふ、君は私を知っているようだが、私は君を知らない。名前は何と言うのだ?」

とても悲しい言葉を告げた。


ねえ、滝。

滝の中で私は忘れてしまえるほど小さな存在だったの?




廊下で見つけたその姿。

思わず走って捕まえた君のかばん。

振り向いた君はその綺麗な眉をひそませて。

「ええと・・・確か隣にクラスの。・・・何か用か?」

とてもさみしい言葉を告げた。


ねえ、三木。

三木にとって私は記憶の片隅にも入れてもらえない存在だったの?



移動教室。

渡り廊下でぶつかったあなた。

「わわ、ごめんね?」

ふにゃり、困ったように笑って手を差し伸べた。

「じゃあね」

離れたぬくもりは、もう戻らない。



ねえ、タカ丸さん。

あなたにとって私は心にとめてもらえないほど些細な存在だったのですか?





あなたたちが悪いのではないとわかってはいるけれど、だとすればこのどうしようもない感情を何処にぶつければいいのですか?





ぎゅう、と目の前のに寄りかかって。

重い、と怒られはするけれど、決して引き離そうとはしない、それがどうしようもなく嬉しくて。

さらに強く、その体を包む。

否、縋る。


からり、空いた扉、現れた人物。

見知った人


「、と う な い・・・?」


こぼした言葉はとても小さかったけれどには聞こえていたようで、びくり震えたからだがわかった。

それだけで、もう、彼が記憶を持っていないのはわかったけれど、それでも、体は勝手に動き出していて。


でも、

それはの手でさえぎられて。


同時に飛んでくる、背後からの視線。

それは殺気とも言えて。


出て行く藤内の後姿を見送って、ただ、その場に立ち尽くす。



わかっているよ、

君がどんな気持ちで私を止めたのかも。

知っているよ、孫兵。

君がどんな思いでいるのかも。



それでも、ねえ。





ぽっかりと空いてしまっている穴を埋めたくて仕方がないんだ。























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