ドリーム小説
記憶を辿って45 閉じ込めて、ふたを閉めた
みつけた
そのたった一言が体中にあふれた。
中学の入学式。
新入生の列に僕と同じように並んでいたその姿。
見た瞬間、痛みだした頭と、逆流しだすように溢れる記憶の渦。
映っていた入学式の景色は暗転。
気がついた時は医務室で横たわっていた。
心配したと母親に泣かれ、ごめん、と謝りながら頭の中では別のことを考えていた。
みつけた
みつけた
みつけた
大事な友人たち。
僕らの仲間たち
大好きな
作兵衛
また会えた
さくべ
また会えた
さく
やっと、会えた
知っているはずのない記憶が頭の中に溢れだす。
それは体験したことないものだったのに
でも、なぜか知っていることを知っていて。
自然と、受け入れられたんだ
だけど、作は僕を覚えてないみたいで。
だったら、これは知らないふりをしなきゃいけないんだ。
そう、理解した。
そうして
僕は僕の心に
鍵をかけた
そして奥深くにこの記憶を閉じ込めたんだ。
でも その鍵は 三年後
一人の女の子によってたやすく開け放たれることになるのだけれど
君なら助けてくれるって、そう思ったんだ
※※※※※
左門は覚えていたわけではなくて、思い出した。
ということで、覚えていない人に分類してました。
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