ドリーム小説
記憶を辿って64 近いのに遠い
なんでだろう。
なんでだろう。
私は私で、それ以上でも以下でもない。
だというにもかかわらず、時折感じる、この感覚。
まるで私という存在を、私という仮面をかぶって演じているような。
とても怖い感覚に陥るんだ。
そして、夢を見る。
真っ暗い闇の中、近づいてくる何かに脅える夢。
真っ暗な世界で、真っ赤に染まる夢。
それはとてもとても恐ろしくて、
とてもとても、悲しくて
とてもとても苦しい。
助けてほしい
『兵助』
私が耐えきれなくなった時、ふわり笑って助けてくれる、
それが、幼馴染の勘右衛門。
小さなときから傍にいてくれて、私が何かしらの感情に襲われた時、慰めてくれて
まるで私以上に私のことを理解してるみたい。
同い年なのに、ずっと大人びて見えて。
同じ時に生まれたのに、私よりもいろんなことを知っていて。
そんな彼は時折私以外を探すように
目を伏せる。
大好きだけど、時折怖い。
近くにいるのに、時々遠い。
離れて行かないでほしい。
傍にいてほしい。
私を見てほしい。
でないと、私は私でなくなってしまう
ねえ、勘右衛門。
助けて。
たすけて、
勘ちゃん
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