ドリーム小説
記憶を辿って66 まだ不完全
君は誰かなあ。
ほんわり、胸があったかくなる。
君を思うと。
でも、君が誰かというのはわからなくて。
でもね、知ってる気はするんだ。
君を知らないけど、
でも、知ってる。
早く見つけてあげなくちゃ、さみしいと、泣いちゃう君だから。
早く探してあげなくちゃ、また一人ぼっちにしてしまう前に。
だからね、待っててもう少し。
私が君を思い出すまで。
ねえ___
ふわり意識は浮上する
ざわりざわり
響く喧騒の中
まるでそう、例えるならパズルのピース。
始まりは中学に入学した時。
一人目は新入生代表の挨拶をした男の子。
あの時と同じでやっぱりすごいんだなあと思った。
でも、それは彼がすごく努力してるからだとも知っていた。
次にクラスメイト
始めましてと差し出された手は節くれだって傷だらけ。
あの頃私がよくかかっていた罠を作るその手。
にやり
その笑みは今も健在で。
他のクラスメイトだって知ってた。
まるで水に沈んでいたなにかがふわり、浮上するみたいに
以前火縄銃を持った時の真剣な瞳そのままで、
その日提出の宿題に悩んでいた君とか
ふわふわこっちをあったかい気持ちにしてくれる君が、
体育の時間になると私に勝負を挑んでくるとか
廊下ですれ違った人たちのことだって、思い出した
泣き虫だった君は、いまもそうなのかな
今の君も字がひさんなのかな
私たちのお母さんは今も健在なのかな
今も君はぬめりとした彼らを愛しんでいるのかな。
考え出すときりがない
記憶のかけら。
でも、それは出会わなければ生まれ得ない
私が見つけなければ、見つけ得れない
不完全
庄ちゃん
兵ちゃん
虎若
三治郎
金吾
団蔵
伊助
喜三太
でもまだたりない
まだまだたくさんいる。
まだ思い出せない。
新たな友に出会うたびに増えていくピースは、それでも大事なところだけは抜けたままで。
それでも、見つけるから、
まってて___
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