ドリーム小説
記憶を辿って7 第一接触
昼休み終了20分前。
中庭にて食事を終えたの前
ひらり
目の前を通った黄緑を思わずつかんでいた。
「なに?」
声と共に振り向かれた黄緑。
その彼は思った通りの人物で
引っ張られた服を辿り、を見つけた瞬間きょとん、とした表情を見せた。
「誰?」
色違いの前髪がさらりと揺れてその髪の間から鋭いまなざしがに向けられた。
「え、と、」
帰ってくる言葉はわかっていたけれど、それでも、つきりと胸を刺す痛みがあって。
「なんか用?」
そう言いながら向けられたその瞳。
まっすぐすぎるほど純粋な白が、の背中を押した。
「ええ、と、私転校してきたばかりで、場所がよくわかんなくて・・・」
しどろもどろでそれでも服の裾を離さないでは告げる。
「・・・迷子?」
ぽん、と発された言葉に、う、と詰まる。
「いやそうじゃない、けど・・・」
ふう、と一つため息。
「何処行きたいんだ?連れてってやるよ。」
その言葉と共に裾を引っ張っていたはずの手がぐい、と引っ張られ次の瞬間には何か大きな温もりに囲まれていた。
「っ、」
「同じネクタイの色だし同じ学年だよな。俺は三年二組の次屋三之助。あんたは?」
「え、あ、三年一組、。」
「、ね。んじゃとりあえず一組連れてってやるよ。」
「あ、りがと・・・。」
繋がれたままの手が引っ張られる。
それに伴いの足も動き出して。
別にクラスの場所もわかってる、覚えてるし、一人でも帰れる。
だけど、掴まれた手の温かさに、泣きそうなくらい嬉しくなった。
無言で進む時間は息苦しいはずなのに、にとってはどこか心地よくもあった。
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