ドリーム小説
記憶を辿って94 ねえ、君は誰だっけ
ねえ、君は誰だっけ?
僕とそっくりな顔して、僕よりずっと優秀で。
僕と同じ顔で、悪戯そうに笑う
迷う僕に手を差し伸べてくれて、僕の迷いを理解してくれて
僕と一緒にいるときだけは、安心したように笑う。
ねえ、
ねえ、
君は、だあれ?
ふわりふわり、それは目が覚めるたびに、闇に消えて。
ふわりふわり、それは夢見るたびに、記憶として蓄積されて。
ふわりふわり、それはつかめそうになるたびに、遠ざかって。
ねえ、見えない君はだあれ?
今日もまた消えてく君
今日もまた会う君
近いのに、なぜかとても遠いんだ。
手に触れられるほどの距離にいるのに
手で触れればもう二度と会えなくなってしまいそうで。
入学式
始めて会ったのに、僕の名前を知っていた君に、僕の心がどんなに揺れ動いたか。
君は知らないでしょう?
「ええ、と、始めまして。」
思わず口から出た言葉はまるで君を拒否するもの。
ちがう、ちがう。
言いたかったのは、そんな言葉じゃない。
「どこかで出会ったことあったかな?」
泣きそうに、君が、笑った
ちがう、ちがう。
君にそんな顔をさせたいわけじゃない。
「僕とそっくりだね。」
勝手に動揺する心を無視するように言葉が溢れて。
心が痛い
同じクラスなのに、あれ以来全然会えなくて。
会いたいんだ、君に。
この心の、思いの意味を、教えて?
でも、それから一度も君に会えないうちに。
まるであの夢みたいに埋もれていく君の姿。
会いたいのに会えない君
声をかけたいのにいない君
ねえ、君はだあれ?
その答えを、僕はまだ持たないまま
今日もまたあの夢を見る。
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